カシオ計算機は6日(米国時間)、米ラスベガスで開催される「2010 International CES」の開幕前日に記者発表会を行い、写真を絵画風の画像に変換して表示できるデジタルフォトフレーム「Digital Art Frame」や、デジタルカメラ「EXILIM」シリーズの新製品4機種などを発表した。前者は同社としては新しいカテゴリーの製品で、デジタルカメラ等で培った画像関連技術を応用したものとなっている。

写真を絵画風の画像に変換して表示する「Digital Art Frame」

今春発売予定とされる「Digital Art Frame」は、10.2型WSVGA液晶ディスプレイを搭載したデジタルフォトフレーム。2GBの内蔵メモリー、SD/SDHCカードスロット、無線LAN(IEEE802.11b/g)、ステレオスピーカー等を備え、画像(JPEG/BMP/PNG/RAW)、動画(モーションJPEG)、音楽(MP3/WAV)を再生できる。

Casio Americaでセールス&マーケティングを統括する同社Executive Vice PresidentのJohn Homlish氏

最大の特徴は、デジタルカメラで撮影した写真を絵画のような画像に自動変換して表示する機能で、水彩画、油絵、点描、エアブラシなど8種類のスタイルが用意されている。風景や日常のスナップなどをアート作品のように楽しむことができる。

「(この製品は)機能的な価値だけでなく、個人の表現の可能性を提供するものだ。オリジナルの油絵で部屋を飾りたいと思ったことはないだろうか。Digital Art Frameなら、ボタンひとつ押すだけでそれが可能になる」(製品の説明を行った同社米国法人Executive Vice PresidentのJohn Homlish氏)。

PCの画像編集ソフトでも、画像を絵画風に変換するフィルターを備えているものは多いが、これまでデジタルカメラの機能を開発する中で培ってきた技術が活かされているのが特徴という。例えば、画像全体に対して単純にフィルター処理を行うと、人の顔の形が変わってしまうなど不自然な結果になることもあるが、今回のDigital Art Frameは顔認識技術を組み合わせることでこのような問題を回避している。

デジタルカメラで撮影した風景写真(左上)を点描(右上)や油絵(左下)など8種類の絵画に変換する

また、高速連写が特徴の「HIGH SPEED EXILIM」シリーズで撮影した連続写真を絵画風に変換すると、手書きのアニメーション映像のように見えるなど、Digital Art Frameは同社のカメラの楽しみ方を広げる製品でもあるとしている。連写画像から動きのある部分を切り出して動く合成写真を簡単に作成できる「ダイナミックフォト」機能も搭載しており、「動く絵画」を楽しむことも可能だ。

そのほか、Flash Liteコンテンツの再生に対応しているのも特徴で、撮影した写真とFlashを組み合わせることで、オリジナルデザインの時計やカレンダーとしてDigital Art Frameを活用するといった提案も行っている。

複数枚撮影した滝の写真にダイナミックフォト技術を適用すると、滝が流れる絵画なども作成できる

Flash Lite対応により、写真を利用したオリジナルの時計やカレンダーを表示可能

世の中にない製品を作るのがカシオ流

カシオ計算機代表取締役社長の樫尾和雄氏

発表会の冒頭には同社代表取締役社長の樫尾和雄氏が登壇し、エレクトロニクス・デジタル技術を応用して世の中にない製品を作るのがカシオの考え方であると説明。「これまで絵画は描くもの、見るものだったが、(Digital Art Frameを利用して)絵を『作る』という考え方が生まれ、写真の文化が変わっていくのではないか。今までは、写真を撮ることは記録を取るということだったが、撮った写真を絵に変換するということになると、撮影時は『どういう絵を作りたい』という見方になる」と述べ、既存のデジタルフォトフレームとは異なる独自性の高い製品であると強調した。

このほか、発表会ではHIGH SPEED EXILIMシリーズの新製品として、秒間40コマの高速連写機能と光学10倍ズームレンズを持ち運びに便利なコンパクトサイズに搭載した「EX-FH100」が、EXILIMシリーズでは従来比30%アップの高速化を図った新開発の画像処理エンジン「EXILIM Engine 5.0」を搭載した「EX-H15」「EX-Z2000」「EX-Z550」の3機種がそれぞれ発表された。

秒間40コマの高速連写機能と光学10倍ズームレンズを搭載した「EX-FH100」などが新たに発表された

また、既報の通り、LED光源とレーザー光源を組み合わせたハイブリッド型のプロジェクター「グリーン スリム プロジェクター」も同日あわせて発表されているが、これについては手のひらサイズの小型機も開発しており、ビジネスユーザーのみならずコンシューマー市場も視野に入れていきたいとしている。