エプソンは9月17日、複合機のマルチフォトカラリオ「EP-902A」「EP-802S」「EP-702A」「PX502A」「PX-402A」、シングル機のカラリオ・プリンタ「EP-302」、7.0型液晶を持つカラリオ・ミー「E-600」「宛名達人 E-800」と、A2対応インクジェット・プリンタのエプソンプロセレクション「PX-5002」の全9機種を発表した。
価格はオープンプライスで、店頭予想価格は「EP-902A」が30,000円台後半、「EP-802S」が30,000円台前半、「EP-702A」が20,000円台前半、「PX502A」が10,000円台後半、「PX-402A」が10,000円台前半、「EP-302」が10,000円台中盤、「E-600」が20,000円台後半、「宛名達人 E-800」が50,000円台中盤、「PX-5002」が150,000円台後半。発売日は、「EP-802S」が9月25日、「E-600」が11月上旬、そのほかの機種が10月7日。
会場ではまず、セイコーエプソン 取締役 情報機器事業セグメント担当 羽片忠明氏が市場状況や今後の方向性について説明した。
国内プリンタ市場は、需要が一巡してきていることに加え、画質やスピードなどの技術的な熟成により、成熟市場と見られている。さらに、PC周辺機器として、スペックに偏った商品開発により、大きな伸びが期待できないと分析。プリンタ購入後、使用するまでのセッティングが煩雑で難しかったり、プリント時にPCやプリンタの複雑な操作が必要になるなど、敷居が高いと語った。
このような問題を解決するには、使いたいときにすぐに使えるようにすること、多目的な用途に活用できるようにカラリオとユーザーの距離を近づけることが重要。そのために、ユーザーとの生活密着度を高め、カラリオが生活の中に溶け込み、気軽に使える存在になれるように取り組んできた。そこで、商品開発のコンセプトを「暮らしの中で、無くてはならない存在」にしたと説明した。
続いて、セイコーエプソン 情報画像事業本部 副事業本部長 遠藤鋼一氏が、2009年度新商品を紹介した。
まずはコンシューマプリンタの市場環境に関連して、インターネット市場動向を説明。2006年には6歳以上でインターネットを利用したことがある人は70%を超え、そのなかでブロードバンドの使用比率も70%を超えている。さらにテレビの1日当たりの視聴時間は103分に激減する一方、情報端末からのインターネットの利用時間は増加し、60分を超えるようになってきている。このようにインターネットは身近なインフラとなっているのだ。
さらに、ネット対応ゲーム機やインターネットTVの普及などで生活スタイルが変化しており、今後Netbookの普及などひとつの家庭内が複数のインターネット対応機器を持つようになる。エプソンではこのような環境の変化から、複数の機器を簡単に接続できる無線LAN化が進むと想定。実際に、複数のPCを所有する家庭は約50%、その中で無線LANの普及率は約47%になっている。このような状況に対応するために、新カラリオでは無線LAN対応機種のラインナップを拡充させた。
エプソンでは、2008年にカラリオのロゴを刷新し、"わたし"を中心に「快適」「簡単」「キレイ」「スタイリッシュ」「環境」「未来」を表していたが、2009年はこのロゴがさらに進化。「簡単」では、セットアップが簡単になり、PC以外にiPhoneからも印刷できるうえ、無線LAN対応で家のどこにでも置けるようになった。
「未来」では、カラリオ・ミーでデジタルフォトフレーム機能を搭載し、パソコンがなくても7.0型大画面に映し出された写真をそのまま印刷できるようにしたほか、「E-800」ではオリジナルハガキが作れるようにした。
「スタイリッシュ」「快適」では、どこにでも置けるコンパクトでスタイリッシュなデザインでラインナップを拡大し、ピアノブラックに加えてドットパターンテクスチャーの採用で質感をアップしている。
「キレイ」では、画像処理技術によりノイズ除去・美肌補正が簡単な操作で行えるほか、専用紙「クリスピア」で発色性、色安定性などが向上されている。
「環境」では、省エネ設計、省資源、有害物質の排除により、ライフサイクル全体の環境負荷を最小化していることに加え、ピアノブラック光沢成型で塗装削減を実現。さらに、プリンタメーカー6社共同でインクカートリッジ里帰りプロジェクトを推進している。このように環境についても注力してきているとした。
最後にエプソン販売 代表取締役社長 平野精一氏が年末商戦への取り組みを説明した。エプソンでは、今回9機種を発売し、既存機種とあわせて全19機種で年末商戦を戦うこととなる。プリンタ市場は07年度485万台、08年度470万台に対して、09年度は460万台を見込んでいる。09年上期は1950万台と対前年比97.5%であったが、下期は2650万台と対前年比98.1%の見通し。エプソンでは、個人消費の冷え込みは続くもののWindows 7や新コンセプトのカラリオ・ミーによる市場活性化により、複合機、コンパクト・プリンタ、インクジェット・プリンタの3つのカテゴリーでシェア50%以上、販売台数では対前年比でプラス成長を目指している。
ポイントとなるのは「無くてはならない」というキーワード。それを実現するために、「無線LAN」、カラリオ ミー「宛名達人 E-800」、「View&Print」、「最大A2対応で作品画質を高める」の4点を重視。
「無線LAN」ではどこでも置ける利便性、すぐにプリントできる快適さ、複数台のパソコンから使えることを訴求。「カラリオ ミー「宛名達人 E-800」では、パソコンを使わないで年賀状やハガキが作成できること、年賀状シーズン以外でもデジタルフォトフレームとして年間を通じて楽しめることを訴求。「View&Print」では、新しいデジタルフォト・エンターテインメントを訴求し、仲間や家族が写真生活を楽しむシーンを表現。「最大A2対応で作品画質を高める」は「PX-5002」で、ビビットマゼンタ(VM)、ビビットライトマゼンタ(VLM)、濃度の異なる3色の黒インクによる高度なモノクロ印刷により、展覧会への作品出展にも耐えられる大判サイズのプリントを家庭で楽しめることを訴求するとした。