Mac OS XとHDDの最適化(デフラグ)

Mac OS XではHDDの最適化(デフラグ)は必要ないとされている。Mac OS Xのファイルシステムには、読み出そうとするデータが一定数以上断片化していると自動的に最適化を行う機能「adaptive hot file clustering」が備わっているからだ。しかし長期間にわたりMacを使っていると、起動が遅くなったと感じたり、ビデオ編集などでデータの読み出しに遅さを感じることも少なくない。

この理由は、実際にデータを必要とする時点になって最適化が行われること、またシステムファイルやメタデータ領域までは最適化を行わないことによる。

ただ、ユーザーがその解決を行おうとしても、先に挙げた自動最適化機能ゆえにMac OS Xにはデフラグソフトは付属しておらず、対処できない。したがって、パフォーマンスの低下した状態で使用するしかない状況になってしまう。

次の問題は、既存のデフラグソフトで最適化を行うと、かえってパフォーマンスを低下させてしまう場合があることだ。これは、自動最適化機能の効果を無視した最適化を行ってしまうためである。

そこで、Mac OS Xの自動最適化機能に対応し、適切なHDD最適化を行えるソフトとして登場したのが、ネットジャパンより販売されているiDefragなのだ。7日には、その最新版たる「iDefrag 3.0」がダウンロード販売開始予定となっている。本稿では、その新機能などを中心にiDefrag 3.0を紹介しよう。

「iDefrag 3.0」の新機能

iDefrag 3.0では、Mac OS X Leopard(10.5)に対応したことが、まずは注目すべきだろう。これまではLeopardに未対応であったので、最新のMac OS X環境では最適化を行えなかった。ユーザー待望の新機能といえる。

図1: 「iDefrag 3.0」(画面は開発中のもの)

ユーザーから要望の多かった機能も追加された。最適化終了後に自動的にシャットダウン、もしくはスリープする機能である。[iDefrag環境設定]→[全般]タブから設定できる(図2)。

図2: iDefrag環境設定[全般]タブ

図3: iDefrag環境設定[セーフティ]タブ

最適化後に自動シャットダウンするには、[完了時の動作]で[コンピュータの電源を切ります。]にチェックを入れるだけだ。最適化は、状況によっては非常に時間がかかることがある。Mac OS Xでの作業を終えた後に設定すれば、最適化作業も面倒ではないであろう。

もう1つの新機能は、HDDの監視である。最適化では、データの移動が多々発生する。iDefrag 3.0は、最適化中のHDDの温度を監視し、しきい値を超えた温度になると、最適化を一時停止する(図3)。

そして、設定された温度(この例では45度)以下になると、最適化を再開するのである。高温が原因によるHDDの損傷などから守ってくれる、ありがたい機能といえる。

iDefrag 3.0の最適化

iDefrag 3.0は、さまざまな最適化を行う。具体的には、以下の通りである。

  • システムファイルやメタデータの最適化
  • 空き領域の最適化
  • B-Treeの最適化

冒頭で述べたように、他デフラグソフト同様単にファイルを最適化しただけでは、システムパフォーマンスの低下を解消できない。B-Treeやメタデータといったシステムファイルの最適化を行うことで、OS全体のパフォーマンスの向上が可能になる。

iDefrag 3.0は、これらを組み合わせることで、以下5種類の最適化方法をサポートする。

最適化方法 説明
コンパクト最適化 データをできる限りボリュームの先頭にまとめる
メタデータ最適化 メタデータ領域を最適化。オプションにより再構築も行える
カスタム最適化 ユーザーの作成した設定ファイルに基づいて配置を行う
オンライン最適化 現在使用中のファイル以外を最適化
すべて最適化 データ、メタデータおよび、カスタムのすべての最適化を同時に行う

「コンパクト最適化」では、データをできるかぎり、ボリュームの先頭に配置し空き領域を広げる。5つの中では最短時間で最適化できるだろう。「メタデータ最適化」は、ボリュームメタデータ、adaptive hot file clusteringによるホットゾーン(ホットファイル)を最適化する。パーティション操作などを行う前に実行しておきたい最適化である。「すべて最適化」は、CDブートしてすべての最適化を行う。もっとも効果の期待できる最適化ではあるが、時間もかかる可能性がある。推奨したいのは、「カスタム最適化」の[Default]である。ユーザーの設定で最適化の内容を指定できるが、[Default]では、あらかじめすべき最適化が設定されているので、パフォーマンスも含め、適切に必要な最適化を行える。外付けHDDを最適化する場合などでは、コンパクト、メタデータ最適化をすることで十分かもしれない。

図4: 「iPartition 3.0」

最適化によっては時間もかかる。状況に応じて、最適化の方法を使い分けることで、効率的に最適化を行えるだろう。

iDefrag 3.0と同時にiPartition 3.0(図4)も発売の予定である。ユーザーインタフェイスも一新され、WindowsのファイルシステムNTFSなどのパーティション操作も可能になった。Boot CampでWindowsをインストールしているパーティションの操作も行える。iDefrag 3.0と同時の導入も検討するとよいであろう。