6月17日に公開されたFirefox 3であるが、「世界最速」ともいわれるレンダリングエンジン「Gecko」搭載により、Internet Explorer(以下、IEと略記)から移行するユーザーいるかもしれない。しかし、IEでなければうまく表示できないページも少なからず存在する。そんな場合には、いちいち[スタートメニュー]からIEを立ち上げて…などという、やや面倒な作業が必要になる。そこで、本稿で紹介したいアドオンが、IE Tabである。

IE Tabをインストールすることで、Firefoxなどのタブ中でIEのレンダリングエンジンを利用することができるようになる。このようにすることで、Firefox 3からWindows UpdateなどIEでしか表示できないページを閲覧できるようになる。

IE Tabは内部的に、IEコンポーネントを呼び出すことで、その機能を実現しているので、履歴やキャッシュなどは、IE側に保存されるようになる。JavaScriptなどの設定もIEのものが引き継がれる。さらにIE Tabで表示されたタブ内では、IEの右クリックなどが、IEと同様に使用することができるようになる。

IE Tabを使ってみる

インストールは、Firefoxのアドオンサイトの中の「IE Tab」のダウンロードサイトでインストールボタンをクリックするだけである。

図1の[Firefox(Windows)へインストール]をクリックする。すると、図2のような確認ダイアログが表示される。[インストール]をクリックし、次へ進む。

図1 IE Tabのページ

図2 インストールの確認

インストールを完了させるには、図3のようにFirefox 3の再起動が促される。

図3 インストールすると再起動を促される

以上でIE Tabのインストールは完了である。[ツール]→[アドオン]の[拡張機能]にIE Tabが表示されていれば問題ない(図4)。

図4 インストールされたIE Tab

では、早速、Microsoft社のWindows Updateのサイトを閲覧してみよう。図5のように、正しく表示される。タブの左上には、IEのマークがあり、IE Tabで表示していることが示される(図5)。

図5 IE Tabで表示させたWindows Updateのページ

普段、表示させているページも、自由にレンダリングエンジンを切り替えることができる。ブラウザを表示しているウインドウの右下にあるアイコンをクリックすることで、レンダリングエンジンをIEとFirefox 3のGeckoに切り替えることができる。

図6 レンダリングエンジンの切り替え

同様の操作は、Firefox 3の右クリックで[ページをIEに切り替えて表示]やFirefox 3の[戻る]なでどでも可能である。

IE Tabのカスタマイズ

さて、カスタマイズというほどのことではないが、常にIE Tabを利用して表示したいページもある。そのようなページをあらかじめ登録することができる。[ツール] → [IE Tabのオプション]で、[サイトフィルタ]タブを選択する。

ここの[フィルタ]に、IE Tabで表示したいURLを記述していくのである。デフォルトで、すでにWindows UpdateのURLが記述されている。また、ここでは、ワイルドカードなども利用することができるので、より複雑な設定も可能である(図7)。

図7 IE Tabで表示するURLの登録

IE Tabは、IEコンポーネントブラウザのような動作をする拡張機能であるので、Windowsのシステムが必須となる。つまり、Mac OS XやLinuxなどでは使用できない。また、SSLなどの暗号化通信については、一部機能が使えないものがある。したがって、オンラインバンキングなどの高いセキュリティが求められるような使用に関しては、注意が必要である(使用しない方が安全かもしれない)。

また、Webサイトなどによっては、IEしか考慮していないようなサイトも少なからず存在する。そのようなWebサイトをFirefox 3で表示した場合に、表示がかなりおかしなことになってしまうことがある。そのようなWebサイトを訪問するような際にも、IE Tabは利用できる。

これまで、IEのみを使用してきたユーザーにとっては、Firefox 3の高速な動作は魅力であるかもしれないが、操作性や見た目などでとまどうことも少なくないであろう。IE Tabを利用することで、Firefox 3へ移行しやすい環境を構築することができるであろう。もちろん、これまでFirefox 2を利用していたユーザーにも、お勧めしたアドオンの1つである。