オンライン音楽ストアの利用者増を追い風に、AppleのiTunes Storeが2007年に音楽小売りで米国2位となった。米調査会社NPD Groupが米国の13歳以上を対象に1週間の音楽購入動向を調べた結果をまとめたMusic Watchで明らかになった。

米音楽小売りの順位は2007年の音楽販売数の予測に基づいており、1曲単位で購入できる音楽ダウンロード販売は12曲がCD1枚に換算された。1位はWal-Mart。iTunes Storeは2007年1月のMacworld ExpoのApple基調講演における事業データのアップデートでは、Wal-Mart、Best Buy、Targetに次ぐ4位だった。同年9月のiPod発表イベント時点でTargetを抜いて3位となり、今回の2008年最初のレポートでトップを狙うだけの位置まで上りつめた。Appleによると、iTunes Storeの利用者は5000万人を超え、販売曲数の累計は40億曲を突破。2007年のクリスマスには約2000万曲を販売したという。

NPDによると、2007年に米国では音楽のダウンロード販売が音楽販売全体の10%にまで拡大してきた。昨年の利用者は約2900万人。前年から約500万人増加した。これまでティーンエイジャーと20代がデジタルダウンロードの成長をけん引してきたが、07年の成長に最も貢献したのは36~50歳の層だった。一方で消費者のCD離れも進んでおり、米国のティーンエイジャーの48%が2007年にCDを1枚も購入しなかった。2006年の同様の調査では38%だった。NPDは07年に米国で100万人程度がCDを購入するのを止めたと分析している。CD販売の減少分はデジタルダウンロードの成長を上回っており、音楽売上げ全体では10%減だった。違法ダウンロードの温床と言われるP2Pファイル共有の利用者は米国のネットユーザーの19%で、前年から横ばい。ただしユーザー1人あたりのダウンロードファイル数が増加し、特にティーンエイジャーの音楽共有が増えたという。

NPDのアナリストであるRuss Crupnick氏は「オンライン音楽ストアの継続的な成長は好材料だが、音楽産業はデジタルカスタマーに価値の向上を提供できていない」と指摘する。iTunes Storeが2位に食い込んだものの、CDとダウンロード販売のギャップを縮めるには、サービスの評価でiTunes Storeのライバルになるようなオンライン音楽ストアの登場が待たれる。