12日に公開されるSP1の情報サイト。詳細なホワイトペーパーも数日中に公開される予定だ

マイクロソフトは、オフィススイートの「2007 Office System」(Office 2007)のサービスパック(SP)1を12日から公開する。SP1では、アプリケーションのクラッシュ原因トップ5をすべて解消したほか、パフォーマンスの向上も図られている。マイクロソフトでは、家庭/企業ユーザー双方に広く適用を求めていく考えだ。

SP1は、Office 2007 RTM版の公開以降に発見された脆弱性を解消するセキュリティパッチや不具合を修正するパッチなどの複数の更新プログラムをひとまとめにして提供する。SP1はOffice Ultimate 2007やOffice Personal 2007といった各オフィススイート製品と、Word 2007やExcel 2007といった個別のアプリケーションに対しても適用できる。

SP1で提供される各スイート製品とアプリケーション

また、Excel Viewer 2007やInterConnect 2007、SharePoint Server 2007などといったアプリケーションに対してもSP1は提供される。

今回のSP1では、これまでとは異なりベースコンポーネントを共通化し、個別のアプリケーション用のモジュールを1つにまとめてあるため、たとえばSP1適用後にOneNoteを新たにインストールしたといった場合でも、SP1適用済みのOneNoteとしてインストールされるなど、作業工程や管理工程を低減できるようになった。

また、Office 2003向けのSPまではSP1全体をひとまとめにしたフルファイルと、今まで適用されたセキュリティパッチなどとの差分だけをダウンロードする差分ファイルの両方の体裁で提供されてきた。今回はフルファイルのみの提供となり、更新プログラムを適用したかどうかは問わず、すべての更新プログラムが配布される。SP1のファイルサイズは約260MBで、来春以降、準備ができ次第CD-ROM(要実費)での提供も行われる。

SP1に含まれる更新プログラムは、7日の説明会でも示されたOffice IME 2007に存在する不具合を解消する。ほかにも、

  1. Word 2007の印刷オプション設定によっては余分なページが印刷される不具合
  2. Excel 2003で作成された、カスタムカラーを使った図形が正常に表示されないExcel 2007の不具合
  3. HTML形式のメールをプレビューまたは開いたときに本文が正常に表示されないOutlook 2007の不具合
  4. Office Outlook Web Accessでメール添付された場合にファイルが正常に開けないPowerPoint 2007の不具合
  5. データアクセスオブジェクトを使用した他社製アプリケーションがAccess 2007とデータ同期をした際にランタイムエラーが発生する不具合

という5つの不具合を始め、複数の不具合を解消。さらに

  1. Access 2007でプロジェクトファイル(.adp)を開く際のパフォーマンスを改善
  2. Outlook 2007で大きなファイルを開く際のパフォーマンス改善
  3. Project 2007/Project Serrvver 2007でデータベースのインデックス改良によるパフォーマンス向上
  4. SharePoint Server 2007でインデックス作成と検索パフォーマンスが改善

などのパフォーマンス向上も図られている。特に、個々のアプリケーションに関しては、クラッシュレポーティングツールで報告された問題を、最低でもトップ5についてすべて修正。アプリケーションによっては5つ以上のクラッシュする問題を解決しているそうだ。マイクロソフトのインフォメーション ワーカー ビジネス本部オフィス製品 マーケティング グループ飯島圭一シニアプロダクトマネージャによれば、これによって大幅にクラッシュする確率が減少しているという。

12日からの配布では、Microsoft Update/Office Update、Windows Updateの「重要な更新」として配信される。各Updateでは自動で更新プログラムを配信する自動更新機能もあるが、自動更新の開始時期については現在調整中だという。ダウンロードセンターからダウンロードすることも可能だ。

企業向けインストール方法の詳細

企業向けのインストール方法

企業向けでは、各Updateからそれぞれインストールするほか、管理者がインストールポイントを設定してクライアントから手動でインストールするネットワークインストール、Windows Server Update Services(WSUS) 3.0経由のインストール、System Management Server 2003でのインストールといった方法が選べる。

インストール時には、ローカルにインストールソースを保存するため、Office 2007のメンテナンス時にインストールCDが不要になるほか、SP1自体がUpdatesフォルダにコピーされ、Office 2007再インストール時にSP1を適用しながらインストールできるようになった。従来のようにSetup.iniファイルなどを編集する必要はない。これらにより、SP1適用環境の効率化を図り、企業の負荷を軽減している。

企業ユーザーでは業務アプリケーションとの互換性を確認する場合もあるため、マイクロソフトでは自動更新を当初は行わないが、パフォーマンス向上とセキュリティ強化が行われているため、ホームユーザーでは早期の適用を、企業ユーザーでも互換性が確認され次第の適用を推奨している。

また、マイクロソフトが10月に開催したセミナーの来場企業へのアンケートでは、7割が1年以内にOffice 2007の導入を予定していたという。飯島氏は、SP1での性能向上をふまえ、企業の導入移行がさらに高まると期待している。

なお、SP1の対応OSはWindows XP SP2 / Vista / Server 2003 SP1で管理者権限が必要となる。