シンプルのまま個性的なサービスを目指す

一方で、nuroモバイルはソニーグループでありながら、あまりソニーブランドを前面に押し出していないのが特徴だ。

親会社のソニーモバイルが手がける「Xperia」シリーズや、インターネットプロバイダーの「So-net」など、消費者に馴染みのあるブランドとは距離を置いている。むしろ雑誌の付録としてSIMカードを配った「0 SIM」の提供元として、リテラシーの高いユーザーによく知られている存在だ。

そのサービスの特徴は、シンプルに徹しているところにある。料金プランはデータ容量が1GB増えるごとに200円ずつ高くなる段階制で、音声は700円、SMSは150円。足し算ですぐに月額料金が分かる「明朗会計」だ。

月額料金も分かりやすい

逆に、至れり尽くせりの部分もある。データ容量については、繰り越しや追加購入、ユーザー同士でのギフト機能に加え、新たに「前借り」にも対応した。スマホネイティブの若者など、仮想通貨のようにデータ容量をやりくりする層には確実に「刺さる」サービスだ。

深夜割も、MVNOの仕組みとして理にかなっている。スマホ利用のピークは、昼休みや朝夕の通勤時間帯、夜10時過ぎの就寝前の時間帯にある。逆に深夜は利用者が少なく、MVNOにとっても帯域が余りがちになるため、もっと利用を増やしたい時間帯というわけだ。

注目すべきは、サービスを充実させつつもシンプルを維持している点だ。これに対して大手キャリアは、多様なユーザーの要望に応えてきた結果、複雑化の一途をたどっている。nuroモバイルはそのバランスを見極めることで、ひと味違うMVNOとして生き残りを図っている。

シンプルを維持しながら利用ニーズの多様化に対応