春の桜・秋の紅葉シーズンの課題

特別な御朱印がもらえる社寺の1つ東福寺は、京都を代表する秋の紅葉の名所だ。通天橋を中心とするエリアには、野生の紅葉が生い茂り、時期になれば真っ赤な紅葉と建物が美しい情景を作る絶好の鑑賞ポイントになる。秋の紅葉シーズンになると、境内の外まで長い行列ができ、人で埋め尽くされるほどの人気だ。

通天橋を臨むもみじがキレイなスポット。初夏だと一面緑に

だが近年では、外国人観光客など人があまりに増え、写真撮影の規制をおこなうほどになっているという。観光地としては、うれしい反面、増えすぎる観光客をどう制御するかは安全面でも課題になりつつある。

紅葉のシーズンには、通路が人で埋め尽くされるそうです

ただ、SNSが普及した今、フォトジェニックな場所だからこそ訪れる。写真で映える場所というのが、行き先を決める際に大きな判断基準のひとつだ。マナーを呼びかけても、なかなか浸透しにくい現状もあるだろう。

「おととしあたりから春・秋の観光シーズンの混雑については、地元でも問題視されるようになりました。京都には春や秋だけでなく、どの季節においても尽きない魅力がある。それを伝えたい。」(堀江さん)

桜のシーズン後で、まだ人が多くない青もみじのシーズンの魅力を伝えて、需要を喚起して客数の平準化を図るという狙いがあるのだ。

また旅行会社のツアーというと、日程が固定されていたり、専用のバスで回るというイメージ、シニア層に支えられている現状があるという。若者への需要喚起のために、自由度の高さとフォトジェニックさを意識。日帰りきっぷで自由にまわり、青もみじや特別な御朱印でSNSへの投稿をしてもらおうと。メインターゲットは20代後半から30代の女性「時間が出来たときに気軽に京都にきてもらうしかけにした」のだという。

「これからは旅行者のニーズに沿うように、より丁寧な提案をしたい」(堀江さん)というのが印象的だった今回のJR東海への取材。取材中の記者に対して、どんな旅行の提案が需要喚起につながるか意見を求める場面も。具体的な話になり、“丁寧な提案”という言葉の本気さがうかがえた。青もみじに関しては「まず知ってもらうこと」。そのために説明していくのだという。青もみじは定着するだろうか。普及のための施策に注目していきたい。