得意の“アンバサダー”制度を抹茶でも展開

2016年の業績では、グループ全体を上回る成長率を達成しているネスレ日本。成長の理由として同社が挙げているのが、「顧客の問題解決」および「プレミアム&Eコマース」である。

例えば、コーヒーマシンにコミュニケーション機能を持たせた「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタi」は、核家族化で浮かび上がって来た「1杯だけおいしく淹れるのは面倒だし大変」、「離れて暮らす家族が心配」という顧客の問題に対応。2016年10月の発売から約2カ月で10万台超を販売するなど、注目を集めた。

また過当競争への対応策としては、「量を追わなくても、プレミアム化で利益を伸ばすことができる」(高岡氏)高級チョコレートの市場に参入するため、キットカット専門店「キットカット ショコラトリー」を2014年に開始。国内8店、海外3店を展開し、ブランド価値を向上させたうえで、さらに2015年11月からはEコマースを始めている。

さて今回、同社が抹茶作戦の皮切りとして大々的に発表した「ネスレ ウェルネス アンバサダー」では、以上2つの実績から同社が導き出した「勝てる方程式」を遺憾なく採用している。すなわち、「ITとの連動による(サービスの)パーソナライズ化」、「個々の会員に、問題に応じたアドバイスをすることによる付加価値の向上」、「Eコマースによる広範囲への商品提供」だ。

ITとの連動で健康チェック

サービスの大きな特徴は、ITとの連動で、補うべき栄養素をアドバイスしてくれることだ。具体的には、同サービスの会員になると「ネスカフェ ドルチェ グスト」を無料で借りられる。さらに専用のウェブサイト上で、食事内容や生活習慣に関する質問に答えていくと、不足しがちな栄養素が割り出され、それらの栄養素を含む「ネスレ ウェルネス抹茶」の専用カプセルを提案してもらえるのだ。

食生活などから会員の不足しがちな栄養素を割り出し、各人に適したカプセルを送る仕組み。例えばネスレ ウェルネス抹茶「ブルー」にはカルシウムやマグネシウムなどが入っているし、「レッド」には鉄や亜鉛などが含まれる、といった具合だ

サービスの料金は、ネスレ ウェルネス抹茶のカプセルが15個で1,350円。ドルチェグスト専用のブレンドコーヒーや抹茶のカプセルが16個入りで800~900円強といったところなので、値段としては1.5倍ほどだ。

そのほか、ウェブサイト上では脳エクササイズゲームもプレイすることが可能。「脳の若さを保ちたい」というニーズにも対応している。この脳エクササイズゲームは、臨床データに基づき科学的に証明された世界トップクラスのトレーニングであり、ネスレが独占使用権を取得したものだという。