モンデリーズがやり方を変えたワケ

なぜ今か。思い当たるのは、ヤマザキ・ナビスコのライセンス契約の終了である。ヤマザキ・ナビスコは米ナビスコおよび日綿實業(現:双日)の合弁会社としてスタートしており、ヤマザキ・ナビスコは米ナビスコ(現:モンデリーズ傘下)との間で技術・商標ライセンス契約を締結、オレオなどの製造販売を行ってきた。

しかし、契約が昨年8月31日に満了日を迎えたのだ。以降、それぞれが独自の道を歩み始め、モンデリーズ側も自由な展開が可能になったと考えれば、今回のような新商品の投入は至極、自然な流れといえるだろう。

では、契約満了によって、今回の新商品の発表につながったのか。モンデリーズ・ジャパンの辺丙三社長は次のように話す。「そういうことではないですね。契約内容についても言えません。グローバル戦略の中で、日本のビスケット市場は非常に伸びてますし、そうした中で日本の消費者に困惑しないような品質の商品を提供していきます」。

確かに新商品発表会のなかでも、辺氏は、2016年における日本のビスケット市場動向について、オレオが属する「サンド」カテゴリーが伸びていることについて触れている。

オレオが属するサンドカテゴリーはこれからも伸びが期待されている

しかし、だ。オレオの日本誕生30週年を迎えるまでに、ラインナップが増えなかったのは、何かしらの事情があったからだろう。そう思えて仕方ないのだ。だからこそ、同じような質問を辺氏にしてみた。「外部から見ると、ライセンス契約満了以降、やり方が大きく変わったようにしか見えませんが……」という投げかけだ。

すると数秒の間を置き、「ライセンス契約時はライセンスビジネスのやり方で双方の合意の下で行っています。現在は我々が100%でやっているので、日本で喜ばれると思われる商品は、日本に持ってきたい」(辺氏)という。

オレオを巡る揺らがない事実

結局、コメントからは、何とも言えないのが実情ではあるが、揺らがない事実は以下のことだ。オレオの市場環境は伸びの局面にある。現在はモンデリーズ側が主体となって動いている。ライセンス契約満了後に、モンデリーズ主体になってから新商品の展開が急速に始まった。そして日本初登場の新しいオレオが販売されることだ。いずれにしても、オレオの戦略は大きく変わったのだ。

となると、期待するのが次の展開。気は早いが次なる新商品はいつ登場するのだろうか。モンデリーズ・ジャパンのマーケティング本部カテゴリーマネジャーの森繁弘氏によると「今回たまたま、30周年という節目に過ぎません。下半期、来年についても、定期的に新商品を出していきます。日本発の商品が生まれることも期待できます」と話す。

オレオファンにとってうれしい限り。今まで味わったことのない日本未発売のオレオが日本に増えていく日は遠くない。どんな商品が出てくるのか気になる人は多いだろう。「海外 オレオ」というグーグル検索は間違いなく増えそうだ。