活用できる強みと双方のメリットとは

ファミマが活用できる強みは、何といっても全国1万8,000店を超える店舗網だ。健康への意識が高まるなか、ライザップのブランドを活用した商品を全国展開できるのは大きなメリットにもなる。

一方のライザップは商品企画力を活用する方針だ。6万人を超える会員を抱え、パーソナルトレーナーによるきめ細やかな指導を特徴とするライザップだが、減量の成否を左右する要因は「食生活が7~8割」というのが瀬戸社長の見立て。同社では、どのような会員が減量に成功し、どのような会員が上手くいかないかを栄養学などを用いつつ分析しており、そういったデータはファミリーマートとのコラボにも活用可能とみる。

スライドの上部は両社が互いに活用できる強み。下部は潜在需要に関する分析を示している。日本の人口の約25%が肥満者であり、ファミリーマート・サークルKサンクスには1日あたり1,555万人の来客数があるわけだから、1日に来店する顧客のうち、掛け合わせると388万人が糖質を気にしている可能性がある、との考え方だ

一過性のコラボは眼中になし

ライザップには低糖質関連のビジネスに取り組みたい様々な企業からコラボレーションの引き合いが寄せられているという。そのなかには他のコンビニ大手も含まれていたらしいが、瀬戸社長はファミリーマートとならば「包括的な」取り組みができそうだと考えて協業を決めた。

「低糖質のリーディングカンパニー」(瀬戸社長)を目指し、低糖質の認知度向上を図りたいライザップとしては、例えば「低糖質フェア」などと銘打ち、期間限定でコラボ弁当を発売するといったような一過性のコラボでは、思った通りの取り組みができない。そこで、商品の共同開発から始まり、様々な分野へとコラボレーションを発展させられそうなファミリーマートを協業相手に選んだ。

全国に店舗網を張り巡らすファミリーマートが目指すのは、地域密着型の「プラットフォーム」(澤田社長)のような存在だ。多くの顧客を相手にするファミリーマートだからこそ、「社会にとって価値あるものを提供」していく必要があるというのが澤田社長の考え。そういった意味で、顧客の健康にフォーカスした商品・サービスを充実させられるライザップとのコラボは魅力的に感じたのだろう。

両社は商品の共同開発が協業の「第一歩」であると強調する。今後の展開としては、例えば共同で店舗を出店するようなアイデアも議論の対象となるようだ。糖質制限ブームが永続的なものかどうかは現時点で未知数だが、少なくとも両社のコラボは一過性のものでは終わらない。糖質オフに対する潜在需要がファミリーマートの見込み通りならば、両社の取り組みは大きなビジネスに発展する可能性がありそうだ。