施術を行うセラピスト。彼らは個人事業主だという

ロードサイドをねらったことだけがこの急成長の理由ではない。客に施術を行う「セラピスト」と同社の関係性も急成長を後押ししたといえそうだ。全国500店舗で9,000人以上のセラピストが働いているが、全員が“個人事業主”だという。つまり社員ではなく“フリー”だ。

同社は店舗や施設というリラクゼーション環境を整え、そこで個人事業主が客に施術し料金をもらう。小河氏は割合については明かさなかったが、その売り上げをセラピストと同社で分け合うのだという。つまり“大家と店子”、いや“劇場と興行主”の関係といったら近しいか……。

研修センターを充実させセラピストを育成

個人事業主であるセラピスト側にもメリットがある。育児などで時間の融通が利かないセラピストはフルタイムで働かなくてもよいし、ほかの仕事と兼業する“ダブルワーク”も可能だ。ただ、小河氏によると、セラピスト1本で収入を得ている人の割合が高いという。 同社ではこのセラピストの育成に重点を置いている。小河氏は「リラクゼーション事業をスタートさせてからこのかた、ほぼ広告宣伝にお金はかけませんでした。しかも店舗も居抜きです(笑)」と笑みをこぼしながら、「そのぶん、研修センターへの投資に重点を置きました」と話す。同社には現在、全国に22カ所の研修センターがあり、今後も増やす予定だ。

また、2017年1月から「報酬ランクアップ制度」を導入するという。これは全国で一律だったセラピストへの報酬を作業時間や指名回数に応じて上積みする報酬体系。さらに毎月1回だった報酬支払いを月3回に増やし、セラピストにできるだけ早く支払えるようにする。 なお、指名料金については100%セラピストの収入になるそうだ。つまり施術がうまくなって客に“贔屓”にされれば、そのぶん収入も上がっていくわけだ。