食の宅配サービスが好調だ。矢野経済研究所の「食品宅配サービス市場に関する調査結果 2015」によれば、2015年度の市場規模は1兆9,864億円、2019年度には2兆1,470億円にまで拡大すると予測されている。多くの企業が参入し、競争が激化するこの市場において、いま成長中の企業に話を聞いてきた。本記事では、働く女性を応援するオイシックスを紹介する。

「後ろめたさ」を感じる女性

2016年4月1日にブランドロゴを一新したオイシックス。Oisixで販売している代表的な野菜がモチーフになっている(オイシックス本社受付にて撮影)

2016年4月から女性活躍推進法が施行された。厚生労働省によれば、いまや女性労働力人口は2,824万人、全体の42.9%に及ぶ(2014年度)。仕事をしながら家事も育児もこなす女性は、当たり前だが忙しい。一緒に暮らす家族と家事分担をしていたとしても、「時短」ニーズはかなり大きいだろう。

しかし、「(時短して)ラクすることを手抜きと考えて、後ろめたいと思ってしまう女性が多いようなんです」と答えてくれたのはオイシックス 広報室 室長の大熊拓夢氏。いくら忙しくても買ってきたお惣菜や冷凍食品を食卓に並べることに対して、なんとなく罪悪感を抱いてしまう。それに、栄養バランスも心配。こういった不安や不満を解消するべく、オイシックスが提供するのは半調理献立キット「Kit Oisix」(きっと おいしっくす)だ。

そもそもだが、オイシックスは「子どもに安心して食べさせられる食材」をコンセプトに、有機や特別栽培された農産物などの宅配サービスをオンラインサイト「Oisix」にて提供。定期食品宅配サービス「おいしっくすくらぶ」の会員は現在約10万人に上る。商品を好きに入れ替えられる、受取日時や場所を変更できる、「今週はいらない」と思ったらキャンセルできる、それらすべてをパソコンやスマートフォンから行えるといった自由度の高さも、働く女性に人気の理由だ。

Oisixのトップページ

おいしっくすくらぶは「おいしいものセレクトコース」「プレママ&ママコース」「Kit Oisix献立コース」の3コースに分かれているが、会員数の増加を後押ししているのはKit Oisix献立コース。Kit Oisix献立コースでは、Kit Oisix2個とOisixのオススメ食材がセットになって届く。Kit Oisixには必要な分だけ材料や合わせ調味料がセットになっており、主菜と副菜が20分で作れるのだ。

この「20分」という調理時間が絶妙。調理は簡単、そして短い時間で主菜・副菜が完成するものの、火を使う行程があるなど完全なる「手抜き」ではないので手作りした実感を持てる。野菜を5種以上摂れるメニューになっているのも特徴で、栄養バランスの不安もカバーしている。

Kit Oisix献立コースは2013年7月からスタート。働く女性の増加にともなって順調に拡大しており、現在の会員数は約3万人、累計販売数は200万キットを突破した。Kit Oisixが拡大しているのは、上に挙げた以外にも大きな理由がある。

Kit Oisix定番メニューのひとつ(主菜:ジューシーそぼろと野菜のビビンバ、副菜:小ねぎとのり、豆腐の韓国風スープ)。左は調理前、右は調理後。カットされた野菜やスチームされた肉、計量しなくていい調味料などがセットになっている

ちなみに、Kit Oisixの出荷数量増加にともない、2015年6月には食品加工を行う製造工場「Oisix Dining Center」を新設。4倍の出荷数量に対応できるようになったほか、商品数の拡大にも貢献している。