開催概要とその狙い

2月15日、鴎友学園女子中学校・高等学校(*)を会場にMicrosoftの日本法人であるマイクロソフトとベネッセコーポレーションが主催する中高生のロボットプログラミングコンテスト、「ロボットを作ろう、動かそう」合同発表会が開催された。本発表会は両社が共同で研究・開発してきた4足歩行ロボットを用いた体験型プログラミング講座・授業を受けた生徒・学生の成果発表の場として開催されたものである。

編集部注:鴎友学園の鴎は、正しくは偏が区ではなく區の旧字体となります。

理系人材育成プログラムとして開発されたこの体験型プログラミング学習教材は、ハードウェアとして共立電子から販売されている4足歩行ロボットキット「プチロボMS5」を、ソフトウェアとしてMicrosoft Visual Basicをそれぞれ利用している。

3名1組のチームで実習を行い、自分たちが作ったロボットの紹介をプレゼンテーション方式で行わせることにより、ロボットやプログラミングの基礎を学ぶだけではなく、日本の学生が一般に苦手であると言われるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も身につけることのできるカリキュラムとなっているという。

また、マイクロソフトの技術者や大学生が指導をサポートすることで、中高生にITエンジニアという職を理解してもらい、進路選択の一助とさせる狙いもあるそうだ。

コンテストの内容

同教材は2007年12月より試験的に提供されており、現在までに首都圏9校の私立中学校・高校において短期講座か半年間の授業のプログラムとして採用されている。今回開催されたコンテストにはその中の8校から選抜された24チーム、70名の中学生・高校生が参加した。

コンテストは教材で用いた4足歩行ロボットをそのまま用いたスタンダード部門と、モータ数やロボットの構造を変更したアドバンスド部門からなり、ロボットの特徴・機能を紹介するプレゼンテーションと、スタンダード部門ではトーナメント形式で競う障害物レースが行われる。スタンダード部門は審査員によるプレゼンテーションの評価と障害物レースとの総合成績で、アドバンスド部門はプレゼンテーションの評価によって順位が決定する。

ロボットそのものだけではなく、Microsoft Visual Basicを使用して作られたインタフェースも発表の重要なポイント

寸劇など、発表スタイルそのものに工夫を凝らしたプレゼンテーションも

ロボットと一緒に腕立て伏せ、中高生ならではの元気に満ちたプレゼンテーションが繰り広げられた

いざ、決戦

スタンダード部門のプレゼンテーションでは21チームが、作ったロボットのコンセプトや実際のロボットの動き、Visual Basicで作ったインタフェースなどを紹介し、それぞれの工夫した点や苦労した点、レースへの意気込みなどを個性豊かなスタイルで発表した。アドバンスド部門では4チームが発表し、2足歩行ロボットへの挑戦やたくさんのサーボモータを追加した生物型ロボットなど、各チームのオリジナリティあふれるロボットを紹介した。

スタンダード部門の障害物レースは2チーム対抗で、ロボットを操縦してボールや柱などの障害物が置かれたコースを進み、2分間の制限時間の間に先にゴールした方か、どちらもゴールできなかった場合はよりゴールに近い方が勝ち上がるトーナメント形式で行われた。各チーム、メンバーがそれぞれ障害物とロボットの位置を見ながら操縦者に指示を出したり、対戦相手側の様子を見ながら檄を飛ばしたりと、引率の先生達までをも巻き込んだ、手に汗握る熱戦を繰り広げた。

レースの直前まで、会場の外の試走台で調整をする姿も

ステージの上に2台の競技台が設けられ、先生達も巻き込んでヒートアップした勝負に

操縦者だけではなく、チーム全体がロボットを見つめて指示を飛ばす

これらのプレゼンテーションと競技の結果、スタンダード部門は田園調布雙葉中学校・高等学校の高校2年生のチーム「C3-PO」が、アドバンスド部門では西武学園文理中学・高等学校の同じく高校2年生のチーム「The ヴぁんば!?」がそれぞれ優勝の栄冠に輝き、ノートパソコンやXBOX 360などの賞品が授与された。

スタンダード部門優勝チーム「C3-PO」にはノートパソコンやベネッセのニンテンドーDS用教育ソフトなどの豪華賞品が送られた

参加した高校1年生の男子生徒は、「先生からただ教えてもらうという日常の学習を超えて、自分たちで考えて自分たちで作り上げるという点がとても楽しかった。この講座を受けるまではそれほど"モノ作り"に興味はなかったけど、今はこういう道もあってもいいかなと思えるようになった」と、このコンテストを通じて得た感想を述べていた。

また、引率の中学・高校教諭からも「生徒たちの集中している表情、笑顔が普段の授業とは全然違う」「プログラミングやロボットに興味を持って、面白いと思うきっかけを提供できるとのは貴重」との感想が聞かれた。

両社は今後も共同で、開発した体験型プログラミング学習教材の他の学校への展開や講師の育成、大学や専門学校向けのより高度な教材研究・開発を予定している。