第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 設定の要となる「PC設定」 その3

お使いのコンピューターに無線LAN機能やBluetooth機能が備わっている場合、「ワイヤレス」という項目が加わるはずだ。第6章でも触れたが本設定には、機上など無線LANの使用を制限する環境で、同機能を無効にする「機内モード」や各ワイヤレスデバイスのオン/オフをワンクリックで切り替える項目が用意されている。

「簡単操作」は、Windows OSが備えてきた身体障害者を補助する機能だ。視覚障害者には色調を際立たせる「ハイコントラスト」や画面サイズの自動調整を行う機能が備わっている。「画面上のすべてのものを大きくする」は文字どおりMicrosoft Designスタイルの表示内容を全体的に拡大する機能。視覚障害者でなくても高解像度ディスプレイを使用し、文字が読みにくい環境でも有用だ。

「Windowsキーを押しながらVolume Upキーを押してオンにする機能」のドロップダウンリストからは、拡大鏡/ナレーター/スクリーンキーボードを選択可能。使用頻度が高いアイテムをここから選択するとよい。また、通知表示期間やカーソルの太さもここから設定する(図453~454)。

図453 無線LANなどのワイヤレスデバイスの有無を制御する「ワイヤレス」

図454 視覚障害や聴覚障害を持つユーザー向けの機能設定を行う「簡単設定」

「PC設定の同期」は後述するので割愛し、残る「ホームグループ」と「Windows Update」を取り上げよう。前者はWindows 7から備えた共有設定を簡易的に設定する機能だが、第6章で述べたように基本的な機能差はなく、コントロールパネル上で行っていた設定項目をMicrosoft Designスタイルで行うというものだ。ホームグループ機能は、複数のユーザーで写真や動画を共有するのであれば便利な機能ながらも、常にコンピューターが稼働していなければ共有設定は無効になってしまう。

それなら、NASなど小型のファイルサーバーを一台用意した方が利便性も高まるだろう。また、「HomeGroupUser$」というアカウントを有効にしてファイル共有を行う仕組みもWindows 7と同様。以前のように共有リソースへのアクセス時に不具合が発生することはなくなったものの、ネットワークロジックにある程度精通している方は、既存のアカウントに対して個別にセキュリティ設定を施した方が管理しやすいはずだ(図455~456)。

図455 ホームグループに関する設定を行う「ホームグループ」

図456 同機能が有効な場合、共有リソースの選択やパスワードの確認が可能

後者の「Windows Update」は、同機能に関する状態を確認する項目。更新プログラムがインストールされた状態では、再起動をうながすメッセージが現れる。<今すぐ再起動>ボタンをクリックすれば、更新プログラムを提供するためにWindows 8が再起動。更新プログラムが未適用の状態では、最終チェック日を示すメッセージと共に、<更新プログラムを今すぐチェックする>ボタンだけが現れる(図457~458)。

図457 「Windows Update」の状態を確認する「Windows Update」。画面は更新プログラムをインストールした状態

図458 通常は更新プログラムを確認するボタンが用意される

以上で「PC設定」に対する紹介を終えるが、ここでなければ設定できない項目は限られている。繰り返しになるがWindows 8は、新しいスタート画面やチャームといった新UIを加えることで、ユーザーの操作体系を変化させようと試みているが、すべての設定項目が新UIに移行したわけではない。

詳しくは後述するが、WindowsストアアプリやWindows 8の新機能に関する設定は、ある程度「PC設定」に集約されているが、「ファイル履歴」のようにコントロールパネルからの操作を併用しているのが現状だ。そのため、どうにもWindows 8を操作していると"ちぐはぐ"な印象を受けるが、Windows Vistaが設定内容をダイアログからウィンドウに移行させていったように、(Microsoft Designスタイルがこの先も生き残るのであれば)少しずつ改善されるだろう。