~インストールから設定・活用まで~ すべてが分かるWindows 8大百科 (57) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - メモリやリソースを最適化した「Windows Defender」

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~インストールから設定・活用まで~ すべてが分かるWindows 8大百科

57 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - メモリやリソースを最適化した「Windows Defender」

阿久津良和  [2012/10/26]

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第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - メモリやリソースを最適化した「Windows Defender」

以前からWindows OSを使い続けてきた方ならご存じのとおり、Windows XP Service Pack 2には、唯一といえる「Service Pack 2セキュリティ強化機能搭載」という名称を付け、Microsoftは普及に対して尽力していたことを覚えているだろう。2000年当初はワームやウイルスが横行し、各所で不正アクセス事件が多発していた。今思い出せば、同社は安全性を高めると同時に、低落しかけていたWindows XPの評価を支えたかった側面もあったのだろう。

もっともこれは付け焼き刃的な対応ではない。そもそも同社は2001年末からセキュリティに対する考えを改めると同時に、以前から問題となっていたセキュリティ対策の一環として「Trustworthy Computing(信頼できるコンピューター)」という目標を掲げてきた。2002年初頭からNGSCB(Next Generation Secure Computing Base:新しくセキュアなコンピューターシステム)プロジェクトを開始。

開発者にセキュアコードを書くためのトレーニングを施し、セキュリティ開発ライフサイクル(Security Development Lifecycle)を導入して、静的コードに点在するオーバーフローバグの排除や、外部からの侵入を許してしまうぜい弱性の排除などを徹底的に行った。この結果生まれたのが、Windows Vista以降搭載されるようになったBitLockerに代表されるセキュリティ対策機能である。

同社のセキュリティに対する取り組みは年を追うごとに強化され、Trustworthy Computingの名の下に米GIANT Company Software社を買収。同社のウイルス対策ソフトであるGIANT AntiSpywareをベースにWindows Defenderは開発している。Windows Vistaから標準搭載されたWindows Defenderは、ユーザー情報を収集して特定の企業や団体・個人に送信するスパイウェア対策が主目的(図413)。

図413 Windows 7上で動作する「Microsoft Security Essential」

同社の規模や技術力ならWindows Defenderでウイルス対策も可能のはずだが、当時はインターネットセキュリティスイートである「Windows Live OneCare」を発売していたことを踏まえると、自社および他社のウイルス対策ソフトやインターネットセキュリティスイートと競合することを避けていたのだろう。

この方針が変更されたのは2008年秋頃。同社は開発コード「Morro」の名前でセキュリティソフトの開発中であることを発表した。スパイウェアだけでなくウイルスなどを含めたマルウェア全般への対策を可能にし、前述のWindows Live OneCareは販売終了。2009年9月に正式名称「Microsoft Security Essentials」を付けてリリースされると、多くの無償体験版ウイルス対策ソフトを使っていたユーザーはこぞって移行した。検知能力に対してはさまざまな意見があるものの、有料製品版を購入しないのであれば、Microsoft Security Essentialsで十分という印象を受けた。

Windows 8でも当初からMicrosoft Security Essentialsを搭載してくると思われていたが、フタを開けるとWindows Defenderが用いられている。もっとも機能的にはMicrosoft Security Essentialsと同等となり、スパイウェアだけでなくウイルスに対する定義ファイルもサポート。Windows 7のMicrosoft Security EssentialsとWindows 8のWindows Defenderを比較してみたが、各定義ファイルのバージョンは同じだった。ウイルスが侵入した際の動作も大きな変化は見られず、Microsoft Security Essentialsを使ってきたユーザーであれば、違和感なく操作できるだろう(図414)。

図414 Windows 8上の「Windows Defender」。機能的にはほぼ同等である

それなら、Microsoft Security EssentialsをWindows 8へ導入すればよい、という話になるが、そのような対応は不要である。Windows 8に搭載されたWindows Defenderは、そのままの状態で運用するのがベストだからだ。Windows DefenderというよりもWindows 8自体に対する改善機能だが、UEFIベースのセキュアブートをサポートしたコンピューターで運用する場合、Windows Defender自身や各定義ファイルが改ざんされていないことを確認するため、ブートセクターやブートローダーに感染するマルウェアやRoot Kitの侵入を未然に防ぐことができるという。

また、Windows Defenderが消費するメモリやリソースの最適化も行われ、各保護機能が有効な状態でもOS起動に要する時間は4パーセントの増加にとどめている。この最適化はWindows 7+Microsoft Security Essentialsでは行われないため、Windows 8を使用する大きなアドバンテージとなるだろう。

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インデックス

目次
(1) Windows 8大百科 - 目次
(2) 第1章 Windows 8への道 - Windows 1.0からWindows 8まで その1
(3) 第1章 Windows 8への道 - Windows 1.0からWindows 8まで その2
(4) 第1章 Windows 8への道 - Windows 1.0からWindows 8まで その3
(5) 第1章 Windows 8への道 - Windows 1.0からWindows 8まで その4
(6) 第1章 Windows 8への道 - Windows 1.0からWindows 8まで その5
(7) 第1章 Windows 8への道 - Windows 1.0からWindows 8まで その6
(8) 第1章 Windows 8への道 - Windows 1.0からWindows 8まで その7
(9) 第1章 Windows 8への道 - Windows 1.0からWindows 8まで その8
(10) 第1章 Windows 8への道 - Windows 8の新機能: 新しいMicrosoft Designスタイル
(11) 第1章 Windows 8への道 - Windows 8の新機能: Aero Glassの廃止
(12) 第1章 Windows 8への道 - Windows 8の新機能: WindowsストアアプリとWindowsストア
(13) 第1章 Windows 8への道 - Windows 8の新機能: その他の新機能
(14) 第1章 Windows 8への道 - Windows 8のラインナップ
(15) 第2章 Windows 8のインストール - Windows 8の新規インストール その1
(16) 第2章 Windows 8のインストール - Windows 8の新規インストール その2
(17) 第2章 Windows 8のインストール - Windows 8のアップグレードインストール: Windows 7編
(18) 第2章 Windows 8のインストール - Windows 8のアップグレードインストール: Windows XP編
(19) 第2章 Windows 8のインストール - Windows 8とWindows OSのマルチブート: 準備編 その1
(20) 第2章 Windows 8のインストール - Windows 8とWindows OSのマルチブート: 準備編 その2
(21) 第2章 Windows 8のインストール - Windows 8とWindows OSのマルチブート: 実践編
(22) 第3章 Windows 8のUI/UX - 廃止されたAero Glassと新デザイン
(23) 第3章 Windows 8のUI/UX - "従来のデスクトップ"と新しい"スタート画面"
(24) 第3章 Windows 8のUI/UX - Windows 8のショートカットキー
(25) 第3章 Windows 8のUI/UX - Windows 8のShellスキーム
(26) 第3章 Windows 8のUI/UX - リボンUIを備えたエクスプローラー その1
(27) 第3章 Windows 8のUI/UX - リボンUIを備えたエクスプローラー その2
(28) 第3章 Windows 8のUI/UX - マルチディスプレイ環境に再対応したタスクバー
(29) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - WindowsストアアプリとMicrosoftアカウント その1
(30) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - WindowsストアアプリとMicrosoftアカウント その2
(31) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - WindowsストアアプリとMicrosoftアカウント その3
(32) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - IMAP4に限定される「メール」
(33) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - アドレス帳にSNS機能を加えた「People」と「メッセージング」
(34) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - 身近な情報を管理する「カレンダー」「フォト」「天気」
(35) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - 最新情報をMicrosoft Designスタイルで提供する「ニュース」たち
(36) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - 重要な地位を占める「SkyDrive」と「Xboxゲーム」
(37) 第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - Windowsストアアプリ版「Internet Explorer 10」
(38) 第5章 Windows 8を支える機能たち - ハイバネーションで高速スタートアップを実現 その1
(39) 第5章 Windows 8を支える機能たち - ハイバネーションで高速スタートアップを実現 その2
(40) 第5章 Windows 8を支える機能たち - 機能向上したタスクマネージャー その1
(41) 第5章 Windows 8を支える機能たち - 機能向上したタスクマネージャー その2
(42) 第5章 Windows 8を支える機能たち - 消費したメモリを取り戻る「Reclaiming Memory」
(43) 第5章 Windows 8を支える機能たち - 大容量ディスクとネイティブ4Kのサポート
(44) 第5章 Windows 8を支える機能たち - Drive Extenderを彷彿させる「記憶域」
(45) 第5章 Windows 8を支える機能たち - バッテリ使用効率を向上させる「Connected Standby」
(46) 第5章 Windows 8を支える機能たち - 変化するデバイス経験 その1「Device Stage」「プリンター」
(47) 第5章 Windows 8を支える機能たち - 変化するデバイス経験 その2 「NFC」「USB 3.0」
(48) 第5章 Windows 8を支える機能たち - 変化するデバイス経験 その3 「USB 3.0」のスピード
(49) 第5章 Windows 8を支える機能たち - デフラグツールの「SSD」対応とチェックディスクの改善
(50) 第5章 Windows 8を支える機能たち - 描画能力の基盤となる「DirectX 11.1」とDWMの扱い
(51) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - Windows 8の基本的なネットワーク その1
(52) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - Windows 8の基本的なネットワーク その2
(53) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - さらなるパフォーマンスの向上を目指す「SMB 2.2」
(54) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - 機能の向上が見られない「ホームグループ」
(55) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - 次世代を見据えた「モバイルブロードバンド」
(56) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - EVコード署名証明書を統合した「SmartScreenフィルター」
(57) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - メモリやリソースを最適化した「Windows Defender」
(58) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - 無効化できなくなった「ユーザーアカウント制御」
(59) 第6章 Windows 8のネットワークとセキュリティ - セキュリティレベルを高める「PIN」「ピクチャパスワード」
(60) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 設定の要となる「PC設定」 その1
(61) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 設定の要となる「PC設定」 その2
(62) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 設定の要となる「PC設定」 その3
(63) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - Windows 8でも現役の「コントロールパネル」
(64) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 再インストール作業を軽減する「PCのリフレッシュ」
(65) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - ユーザーファイルをバックアップする「ファイル履歴」
(66) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - フルバックアップを作成する「Windows 7のファイルの回復」
(67) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - Adobe Flash Playerを内蔵する「Internet Explorer 10」
(68) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - カスタマイズ可能な「クイックアクセスメニュー」
(69) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 従来どおりのWindows Media Player 12
(70) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 後方互換性の維持に使えるか? 「クライアントHyper-V」 その1
(71) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 後方互換性の維持に使えるか? 「クライアントHyper-V」 その2
(72) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 後方互換性の維持に使えるか? 「クライアントHyper-V」 その3
(73) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 後方互換性の維持に使えるか? 「クライアントHyper-V」 その4
(74) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - 複数のコンピューターで同じ作業環境を整える「PC設定の同期」
(75) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - Windows 8でも提供される「Windows Essential 2012」 その1
(76) 第7章 Windows 8の機能とソフトウェア - Windows 8でも提供される「Windows Essential 2012」 その2
(77) 第8章 Windows 8に関するその他の機能とまとめ - Windows 8で廃止された機能
(78) 第8章 Windows 8に関するその他の機能とまとめ - 気になる点もあるWindows 8の日本語入力環境
(79) 第8章 Windows 8に関するその他の機能とまとめ - 「Classic Shell」でスタートメニュー/ボタンを復活
(80) 第8章 Windows 8に関するその他の機能とまとめ - 「Skip Metro Suite」と「Win+X Menu Editor」
(81) 第8章 Windows 8に関するその他の機能とまとめ - 今後のメールクライアントとなりそうな「Outlook.com」
(82) 第8章 Windows 8に関するその他の機能とまとめ - Windows 8は次世代を担えるか

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