第4章 Windows 8のWindowsストアアプリ - 最新情報をMicrosoft Designスタイルで提供する「ニュース」たち

Windows 8 Release Previewから登場したWindowsストアアプリとして注目したいのが「ニュース」に代表されるニュース系アプリケーションだ。Bingニュースなどをソースにした「ニュース」「スポーツ」「ファイナンス」「トラベル」、そしてRTM版から追加された「Bing」を網羅的に紹介しよう。まず「ニュース」は、画像を前面に押し出したデザインはMicrosoft Designスタイルで定義されているものだが、見栄えのよさは筆者も気に入っている(図258~260)。

図258 「ニュース」を起動するとトップニュースが大きく表示される

図259 リンクをクリックすると、ニュースの本文を読むこともできる

図260 右側にスクロールすれば、各ニュースをチェックできる

iPadやiPhoneのRSSリーダーには、フィードの画像を効果的に使用するアプリケーションも存在するが、雰囲気だけを取り上げれば「ニュース」は類似したアプリケーションと言えるだろう。その一方でニュースソースは自社と産経新聞グループが連動したMSN産経ニュースを筆頭に、結構な数がそろっている。設定項目などを一通り見た限り、ニュースソースの変更は難しそうだが、このあたりのカスタマイズ機能を備えれば、より便利なツールになっただろう(図261)。

図261 アプリバー上部の「ソース」から、ニュースソースの確認および直接閲覧が可能

特定のキーワードを用いてニュースを選定する「セクション」機能も有益である。在住地域の都市名や興味がある製品名などを追加することで、厳選したニュースだけを購読できるのは便利だ。気になるのはニュースが配置される順番。(図262~264)。

図262 マイニュースから、特定のキーワードを用いたセクションを作成できる

図263 こちらは「Windows 8」をキーワードにしたセクション。スタート画面へのピン留めも可能

図264 チャームの検索機能を用いて、気になるニュースを探し出すことも可能

通常は古いニュース記事が右側に並ぶのだろうが、図263でも数時間前のニュースの中に一日前のニュースが挿入されている。もちろんニュースソースを前提にした選別からくる弊害だろうが、新しい情報だけを追い求める場合は不便に感じるかもしれない。なお、追加したセクションを削除するには、セクションを開いた状態でアプリバーを開くと現れる<セクションの削除>ボタンを使用すればよい。

もっとも期待が持てそうながらも、現時点では低い評価をせざるを得ないのが「スポーツ」だ。文字どおりスポーツ系のニュースを取り扱うWindowsストアアプリだが、肝心のデータが海外スポーツ、特に米国を中心にしているのである(図265~266)。

図265 スポーツ系ニュースを取り扱う「スポーツ」

図266 データを提供するのは米国を中心とした企業ばかりだ

上部のアプリバーからはスポーツのジャンルを選択できるが、前述の理由でMLB(メジャーリーグベースボール)など海外スポーツが中心。Jリーグの片りんを見ることすら難しいのだ。筆者はサッカーファンのため、プレミアリーグの情報は楽しいものの、興味のない方もおられるだろう。その場合は同バーにある「全てのスポーツ」から、好みのジャンルを取捨選択するとよい。

もっとも日本では比較的人気のないブンデスリーガのように、ニュースが配信されないジャンルもあるため、マッチリストや順位表だけ見ても少々物足りない印象を受ける。機能自体は問題ないが、肝心のニュースソースが足りないために発生する問題。2012年10月5日(米国時間)の発表で、Jリーグやブラジルリーグが追加され、動画などのコンテンツ追加が発表されているものの、バージョン1.5.0.190の時点では未サポート。Windows 8が正式公開される同月26日以降に更新されるのだろう。Jリーグファンは今後に期待したい(図267~269)。

図267 アプリバーの上部からスポーツジャンルを選択できる

図268 「全てのスポーツ」で表示するスポーツジャンルの変更が可能

図269 サッカーオンリーにカスタマイズしたが、リーグによってはニュースは表示されなかった

経済系ニュースやマーケット情報などを提供する「ファイナンス」も、使い方によっては便利なツールになりそうなWindowsストアアプリだ。具体的には日経平均や東証(東京証券取引所)銘柄の上げ下げを十分間の遅延で確認できる(各銘柄の遅延時間は「商品の詳細」で確認可能)。ただ、本アプリケーションが株取引や為替取引の材料になるかと言えば疑問だ(図270~271)。

図270 経済系ニュースや日経平均などを確認できる「ファイナンス」

図271 日経平均チャートは表示スパンを最大一年まで変更できる

各取引を行っているのであれば、証券会社などが提供する専用ツールを使った方がより高品質の情報を得られるのはあらためて述べるまでもなく、為替情報に関しても直近のチャートが表示されないため、現在レートの確認にとどまってしまうからだ。個人的にはライブタイルによる経済ニュースよりも、NYダウや日経平均だけを表示する機能が欲しかった(図272)。

図272 為替レートにはチャート機能が用意されていないため、FXユーザーには物足りない

次は世界各国の観光地の見所やホテル、レストランなど各種情報を確認できる「トラベル」だ。日本だけでも東京や京都、大阪、沖縄など各地が登録されているように、登録数は数え切れないほど。世界各地を見て回りたいユーザーにはフライト情報の確認や、ホテルの検索機能など役立つ情報が多い。出無精の筆者には使いこなせないものの、旅行好きの方には有益なWindowsストアアプリとなるだろう(図273~276)。

図273 旅先の情報を確認できる「トラベル」

図274 ローマの概要や通貨、天気などを確認できる

図275 観光地によって異なるが、360度見回せるパノラマ写真も用意

図276 登録情報はかなりの数にのぼるため、地域ごとに選択した方が探しやすい

最後に「Bing」と「地図」を取り上げる。前者は同社が運営する検索サイトのフロントエンドだが、Webページと同じくシンプルな風景写真や愛くるしい動物写真を日替わりの背景画像が映し出される。検索結果はWindowsストアアプリ上で列挙し、リンク先はWindowsストアアプリ版Internet Explorer 10で表示する仕組みを採用。なお、オプションからはセーフサーチに関する設定や検索履歴の削除を行える(図277~278)。

図277 WebページのBingと同じく美しい背景画像が描かれる「Bing」

図278 検索結果はWebブラウザーではなく、アプリケーション上に表示される

後者もBing地図をWindowsストアアプリ化したものだ。検索などはWindows 8のチャームから実行するため、全体的な構成はシンプルである。タッチデバイスでスワイプやピンチ/ピンチアウトすれば、快適な閲覧環境となりそうだ(図279)。

図279 Bing地図のWindowsストアアプリ版となる「地図」