考察

ということで、短くまとめる筈がいつものように長くなってしまって恐縮である。今回はノート向けということでTDPが45W枠に収められていることもあり、あまり限界性能を確認できたとはいえないが、とにかく電力効率の良さ、それとPhenom IIと同じくStarsコアをベースにしていながらも、確かにキャッシュやメモリコントローラ周りに改善が施されていること、更に内蔵するRadeon HD 6600シリーズのGPUコアの性能がそう低いものではないこと、などは間違いなく確認できたと思う。

問題はやはり競合製品との比較である。同じ45WのTDP枠ながら、Core i7はもっと派手に消費電力を費やして、その分性能を引き上げている。おそらくモバイルのシーンにおいては、Llanoの方がバッテリーの持ちが良いという判断になるのだろうが、A8シリーズが想定している14~15inch超のノートの場合はACアダプタの利用が半ば前提になっているし、こうしたシーンではCore i7並に消費電力を引き上げつつ性能を上げる、という方向性の方が商品的には正しいだろう。おそらくこのあたりは、AMDのTurbo COREがIntelのTurbo Boostほどにぎりぎりまで性能を引き上げられない(そこまで最適化が図れていない)という話だと思われる。このあたりは今後のAMDの課題だろう。

もう一つのLlanoの課題は、やはりDual Graphicsであろう。とにかく現状のCrossFireベースのDual Graphicsは、カタログスペックはともかく実際はあまり役に立っていない。もう少し大画面を想定できるデスクトップ向けとかではまた効果が出てくる可能性はあるが、モバイル向けという観点では、特に内蔵ディスプレイを前提とした場合にはほとんど意味が無い。このあたりを今後どう改善してゆくのかも、やはり一つのテーマになるだろう。

そういう意味では、やはりTDP枠とかの制限がゆるい、デスクトップ向けのLlanoを早く試してみたいというのが今回のテストを終えての筆者の感想である。