【特集】
皆さんは電子工作を楽しんでいるだろうか。筆者は楽しんでいる。
| 動画 - MIDIフィジカルコントローラ「奏(かなで)」機能デモ |
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| 「奏(かなで)」の機能デモ。撮影時はプロトタイプを利用している |
ここ最近、ホビーとしての電子工作はすっかりさびれてしまったような話を耳にする。筆者も「初歩のラジオ」(誠文堂新光社)や「ラジオの製作」(電波新聞社)を購読し電子工作の楽しさを満喫してきた世代であったが、その後ハンダごてを手放し長い間その世界から離れていた。
最近になってマイコン(マイクロコントローラ)が面白そうになってきたので遊んでみたくなり、電子工作の世界に復帰を果たしてみた。久しぶりにパーツ屋を巡ったりWebで資料を探したりしていると、意外にも電子工作という趣味は今でも盛り上がっていることに気が付く。
まず、秋葉原の電子工作のためのパーツ屋勢力がそんなに変わっていない。あれほど変化が激しい街にあって20年も衰えがないというのは驚いても良いことなのではないだろうか。逆にマルツ電波という新勢力が参入してきて電子工作のパーツ屋が増えているくらいである。
しかし大きく変わったところもある。ラジオや無線をやる人が減り(結果的にはこれが1番大きい原因)、それらがメインであった昔の電子工作ブームが縮小したのではないかと思う。ラグ板(ラグ端子を固定した、ベークライトなどの絶縁物)はすっかり使われなくなり、小電力部品中心となり、ユニバーサル基板からブレッドボード工作へと変化している。
筆者は、そのように中身が変わっていっただけで、電子工作というホビーは今もそれなりに盛り上がっているのではないかとみている。これまでに電子工作をやったことのない人も、今どきの電子工作に目を向けてみてはいかがだろう?
本稿では、そんな最近の電子工作として、PCと電子工作の世界をつなぐプラットホームについての簡単な紹介と、自作プラットホームの製作について解説したい。
近頃流行の電子工作スタイルに「フィジカルコンピューティング」( Physical Computing )というものがある。これは、コンピュータ機器におけるユーザーインタフェースを、仮想的なものではなく物理的操作とフィードバックを用いることで実現しようというものである。
電子工作においては、マイコンが搭載されたインタフェース基板とPCを接続し、PC上からインタフェース基板とその先にある電気機器をコントロールするという試みを指すことが多い。PCは何かと箱の中で閉じてしまいがちだけれども、そこに"手足"や"目"、"耳"を付け、それらを制御して楽しもうというものだ。ソフトウェア的にヴァーチャルな反応をするわけではなく、実際にモーターを駆動させたり、LEDを光らせたりといった物理的な変化をコントロールし、また音や温度といった外界の物理変化をPCに取り込むことから、「フィジカルコンピューティング」と呼ばれている。
フィジカルコンピューティングプラットホームとして有名なのが、イタリア生まれの「Arduino」(図1)や日本生まれの「Gainer」の2つ(注1)。どちらもオープンハード、オープンファーム、オープンソースとして仕様やソースコードが公開されている。そのため、誰でも自由に利用できる。
また、PC上からのコントロールのために「Flash」「MAX/DSP」「Processing」(図2)といったイージープログラミング環境が用意されており、プログラミングが苦手な人でも機器コントロールの楽しさをインスタントに味わえるといった配慮がなされている(注2)。
このようにオープンで開発されている共通プラットフォームを利用することでプロトタイプを短時間で構成したり、制御や表現に集中したりできる。どちらかというとアーティスティックな表現を行いたい人達に良く利用されているようだ。
2008年4月開催の「Make: Tokyo Meeting」で展示されていた、美しいオーディオビジュアライザ「雪風」では、Mac OS Xと機器のインタフェースとして実際にGainerとブレッドボードを用いていた。
表現したいものや楽しみたいことを持っている人達が、本来の目的とは関係ないところで手間どったりくじけたりしないよう、共通化できるところを前もって用意してあげるというのがプラットホームの役割となっている。プラットホームから先の、"何を動かすか"が「フィジカルコンピューティング」の作品であり、その部分は純粋に電子工作、機器工作となっている。そういったプラットフォームを利用することで、物作りに集中でき、製作の楽しさを思う存分味わいやすくなる。
本稿では「フィジカルコンピューティング」の楽しさはちょいと置いておいて、その1つ手前「プラットホーム」作成の方の楽しさを紹介したい。
注1 国内では、メカロボショップやスイッチサイエンスで手に入る。
注2 RAD(Ruby Arduino Development)といったものもあるので、興味がある方は自分に合ったプログラミング環境を探してみるのも楽しいだろう。
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