【特集】

PCテクノロジートレンド 2005 SPRING - ICH7やCrush 19などチップセットに動き

1 CPU:Intel

  • <<
  • <

1/9

今年も既に2ヶ月が終わってしまったが、一応今年一杯のロードマップを示したいと思う。

ちなみに今年のキーワードは「あんまり変化はない」。特にCPUとビデオカードでは殆ど動きがないし、メモリも大差ない。多少動きがあるとすればチップセットの分野程度といったところである。動きが出てくるのは2006年以降なのは殆ど間違いなく、そんなわけで2005年は飛躍の前の停滞期といったところだろうか? 一応前回のロードマップの内容を受ける形で、その後の変化なども踏まえて説明してゆきたい。

さて、今回からちょっとCPUのラインナップを変えた。VIAは殆どリテールマーケット向けの新製品を投入せず、Eden Platformという形のみでの製品展開であるため、これをラインナップから外す事にした。その一方、IntelのPentium MがSFF向けなどに次第に普及しつつあり、DIY向けにもCPU/マザーボード共に出てきた事を踏まえ、こちらをラインナップに加えることにしている。またTransmetaはx86プロセッサビジネス自体の見直しを図っており、現時点では製品展開自体が全く見えないので、これもラインナップからは外す事にした。

表1

CPU:Intel

Tejasのキャンセルに続き、折角LGA775にしたにもかかわらず4GHz動作と1066MHz FSBの両方をキャンセルせざるを得なかったIntelは、やや手詰まりの状況に陥ってしまった。Tejasのキャンセルは、90nm CMOSプロセスのリーク電流が予想外に大きすぎて(Tejas世代は)実用に耐えないという判断の基に下されたわけであるが、4GHz動作もまた同じ理由であった。消息筋によれば、ある程度CPUの選別を行うならば、4GHz動作は決して難しいものでは無かったのだそうである。ただ、「選別を行わなければならない」程に、製品のばらつきが多く、大量に生産するには無理がある、という判断で製品がキャンセルされたらしい。

一方1066MHz FSBがPentium 4 Extreme Edition(XE)のみの対応となったのは、やはり4層基板でSingle EndのShared Busを1066MHzで動かすのは非常に難しかった、という点に尽きるようだ。そもそも800MHz動作ですら、Single EndのShared Busとしては限界に近かった筈で、よく動いたという気すらするわけだが、さすがに1066MHzはかなり無理があったようだ。結果として、Intel 925XEと6層基板の組み合わせはちゃんと動くが、Intel 915シリーズと4層基板では動作しないことがあるという話で、メインストリームの1066MHz移行はキャンセルせざるを得ない状況に追い込まれてしまった。

こうした状況に陥ったそもそもの理由を考えると、一番大きいのはNorthwoodの3.2GHzを投入するときに、667MHz FSBをスキップして800MHz FSBを投入してしまった事ではないか? と思う。歴史にifを持ち込んでも仕方がないわけだが、仮にあそこで667MHzを投入していれば、(Prescott投入の時点でLGA775の採用は避けられないにせよ)、4GHzのキャンセル時点で800MHz FSBを投入するという方法で性能を稼ぐことは可能だったし、そうすれば1066MHz FSBを投入するまでの時間が稼げたから、あるいはメインストリーム向けに1066MHz FSBを使うことも現実的だったかもしれない。こうした対応で時間が稼げれば、たとえば90nmプロセスの改良を図ることでTejasが実現できた可能性はあるし、あるいは4GHz超プロセッサについても可能だったかもしれない。EM64Tや2MBキャッシュを大盤振る舞いする必要もなかった訳だ。

さて、話が前後したが、そんなわけでIntelはメインストリームに2MBキャッシュのPentium 4 600シリーズを持ち込み、1066MHz FSBはPentium 4 XEのみという形でリリースされることになった。加えてEM64Tを全ラインナップでEnableにするほか、Enhanced SpeedStepを搭載することで消費電力低減を目論んだ訳であるが、これは何れもAthlon 64のAMD64やCnQへの対抗策といった意味合いが強く、新機能とは言いにくい。加えて言えばPentium 4のEnhanced SpeedStepは最低周波数が2.8GHzときわめて高く、相変わらずSFF(Small Form Factor)には不適当なCPUという状況が続いている。何でこんなに高い周波数で留めたかというと、やはりPentium Mとの性能差を考えたものと思われる。現行の770は2.13GHzで動作するが、ケースによってはPentium 4の2.8GHz動作とほぼ同等の性能をたたき出すから、仮にPentium 4の最低周波数をこれより下げたりすると、Pentium Mと性能がひっくり返る上に、消費電力はそれでもPentium Mの方が少なかったりするわけで、Pentium 4の立つ瀬が無いという訳だ。この結果、相変わらずPentium 4は性能こそ高いものの消費電力の多いプロセッサとして引き続きハイエンドに位置することになる。

さてこれに続く製品であるが、当初は第3四半期に投入予定だったSmithfieldを、第2四半期に投入することがほぼ確実になった。というのは、AMDがデュアルコアのOpteronとAthlon 64 FXを第3四半期に投入することをかねてから公言しており、これに先立ちデュアルコアを投入したい、という強い意志が働いた模様だ。これにあわせて、(Intelとしては異例ながら)Smithfield対応チップセットであるIntel 955/945シリーズの存在と投入時期を2月初めにアナウンスするなど、このデュアルコアの投入をドラスティックなものにしたいとしているようだ。

もっとも、期待通りドラスティックなものになるかどうか? に関してはちょっと疑問が残るところ。まずSmithfieldはプレスリリースにもある通り、2種類の製品で投入される。ひとつは現行のPentium 4 XEの後継製品として投入されるもので、周波数は3.2GHz、FSBは1066MHzとなる模様。もうひとつはPentium 4 600シリーズの後継となるもので、最終的にはPentium 4 800シリーズということで落ち着いた。実はこれをPentium 4以外のブランド(Pentium 5とかだろうか?)にするという事も検討されていたようだ。また700番台をスキップして800番台に移った理由もあまり明確ではない。

問題はこのPentium 4 800シリーズだが、当初は820/830/840の3製品が予定されていた。動作周波数はそれぞれ2.8GHz/3GHz/3.2GHzになっていたが、この3製品同時投入は今年第3四半期での投入を前提にした話。その後、1四半期前倒しされて6月中にリリースされることになった結果、3製品同時投入は難しいという状況に陥ったようだ。現時点では最終的なプランは決まっていないようだが、一応6月の時点ではローエンドの820のみを投入し、830/840に関しては第3四半期中での投入という事になるという話が出ている。もっとも従来のIntelのやり方からすれば、むしろ840だけを投入しておいて後から820/830を足すという方式になりそうなものだが、そうならないのは生産の問題なのか、マーケティング的な問題なのか、これはちょっと判然としない。

表2
Q1/2005 Q2/2005 Q3/2005 Q4/2005
パフォーマンス 570J/660J 820J
670J
570J/660J
840J
670J/830J
660J/820J
840J
670J/830J
660J/820J
メインストリーム 630J~650J
520J~560J
630J~650J
520J~560J
630J~650J
530J~550J
630J~650J
530J~550J
バリュー 325J~345J
320
325J~345J
320
325J~350J 330J~355J

で、すくなくとも現状のスケジュールを見る限り、Intelの今年の「弾」はこれで終わりである。厳密に言えば、現在出荷されているPentium 4 600Jシリーズでは、EM64TとEnhanced SpeedStepはEnableになっているが、Vanderpool Technology(VT)はDisableのままである。これに関して2005年後半に出荷のPentium 4 600シリーズ(敢えて600Jシリーズといわない所に注意)と、おそらくはPentium 4 800シリーズについてはVTをEnableにするという話が出ている。おそらくその場合には、CPUの名前が今度は600Kとか800Lとか、新たなSuffixが付くのではないかと思われるが、せいぜいがその程度。Pentium 4 600シリーズはこれ以上動作周波数が上がらないし、Pentium 4 800シリーズも90nmプロセスは3.2GHzで打ち止めの模様だ。表2に2005年度のプロセッサラインナップを、表3には各製品のスペックをまとめたが、第3四半期を目処に500シリーズはローエンドを残して生産終了となり、後は600シリーズと800シリーズでラインナップをカバーする形になるようだ。

表3
ブランド Processor Number FSB L2 Cache 動作周波数
Pentium 4 Extreme Edition 1066MHz 2MB 3.73GHz
1066MHz 2MB 3.4GHz
1066MHz 1MB×2 3.20GHz
Pentium 4 520 800MHz 1MB 2.80GHz
530 800MHz 1MB 3GHz
540 800MHz 1MB 3.20GHz
550 800MHz 1MB 3.40GHz
560 800MHz 1MB 3.60GHz
570 800MHz 1MB 3.80GHz
630 800MHz 2MB 3GHz
640 800MHz 2MB 3.20GHz
650 800MHz 2MB 3.40GHz
660 800MHz 2MB 3.60GHz
670 800MHz 2MB 3.80GHz
820 800MHz 1MB×2 2.80GHz
830 800MHz 1MB×2 3GHz
840 800MHz 1MB×2 3.2GHz
Celeron D 320 533MHz 256KB 2.40GHz
325 533MHz 256KB 2.53GHz
330 533MHz 256KB 2.66GHz
335 533MHz 256KB 2.80GHz
340 533MHz 256KB 2.93GHz
345 533MHz 256KB 3.06GHz
350 533MHz 256KB 3.20GHz
355 533MHz 256KB 3.33GHz

さて一方、動作周波数が変わりそうなのは、来年第1四半期に予定されているPresler/Cedarmillという65nmプロセスを使った新コアが登場してからになるわけだが、実はこのPresler/Cedarmillにしても本当に動作周波数が上がるかどうか、非常に微妙である。そもそも、PreslerはSmithfieldの、CedarmillはPrescottの後継製品という事らしいが、動作周波数自体はそれほど上げられない(今のところ4GHz以上に達する、という話はない)し、IPCを画期的に上げるのも不可能と見られている。(一時期はPentium Mのマイクロアーキテクチャを全面的に採用するという話もあったが、結局それも流れた模様で、Presler/CedarmillはNetBurst Architectureの延長という形になる。プロセスの微細化でダイサイズが小さくなるから、L2キャッシュの増量は難しくないし、キャッシュ容量を変えなければダイサイズは半分以下になるわけで、メインストリームはもとよりバリューマーケット向けにも十分原価の低いダイを供給できるから、収益性の改善には役に立つし、L2増量による性能改善をアピールすることは可能だ。が、実際の性能がどこまで上がるかというと、これはきわめて疑わしい。Vanderpool下の仮想マシンの性能を上げるとか、EM64Tの64bit環境の性能を上げるのならまだしも、32bitのレガシーの性能に関しては、NetBurstはやや手詰まりの感がある。一応現時点ではPreslerがデュアルコア、Cedarmillがシングルコアという事になっているようだが、この計画がそのまま進むとは正直考えにくい。Preslarが4コア、Cedarmillが2コアというのならまだ話は判るのだが、さすがにこれはダイサイズが論外なほどに大きくなりそうである。

実はこれに関して、Intelはもうひとつプロセッサの計画を立てているという話がある。発想としてはSunのNiagaraに近い、Many Coreのアーキテクチャである。Smithfieldは基本的にはNetBurst Architectureをそのままデュアルで搭載したものであるが、たとえばもっと沢山のコアを同時に搭載するのであれば、NetBurstほどの複雑なパイプライン構造は必ずしも必要ない、という考え方はある。たとえば動作クロックを無理に引き上げる必要もないから、30段にも及ぶ長大なパイプラインは不要だし、キャッシュミスによる性能低下はマルチスレッドにより遮蔽すればいいから複雑な分岐予測も不要である。こうなると1つのパイプライン毎のピーク性能はやや落ちることになるが、同時に複数のパイプラインが動作するからトータルとしての性能は落ちにくいというわけだ。しかもパイプラインの簡素化により、消費電力をそれほど引き上げずにすむし、ダイサイズの節約になるから、あまったトランジスタをキャッシュに振り向けることでトータル性能の引き上げが図れる事になる。この新プロセッサに関しては、1月の段階では要件を詰めているレベルだったそうで、運がよければ3月に開催されるIDF Spring 2005で何らかの発表があるかもしれないが、9月のIDF Fall 2005送りになる可能性も低くないという話だった。

単純に考えると、今からマイクロアーキテクチャを設計し直していたら、登場時期は2008年とか2009年になっても不思議ではない。実際、2003年に発表されたPentium MはPentium IIIをベースとしたものだったが、それでも開発開始は1999年の事だったから3年以上掛かっている計算だ。従って、当然既に検証済のMicroArchitectureを使ってMany Coreを構築せざるを得ない。考えられるのは、

  • Pentium IIIベース:XDbitのインプリメントは簡単だろうが、SSE2/SSE3、VanderPool/LaGrande/EM64Tなどのインプリメントを新規にしなければならないので、決して楽ではないだろう。
  • Pentium 4(Northwood)ベース:比較的ダイは小さいし、HT/SSE2は既にインプリメント済である。SSE3のインプリメントも容易だと思うが、Vanderpool/LaGrande/EM64Tのインプリメントに関してはちょっと手間が掛かりそうだ
  • Pentium 4(Prescott)ベース:現在のPentium 4のNetBurst Architectureを簡素化する方式である。たとえば今のNetBurstではターゲット周波数が5GHzに設定されていた。これをたとえば3GHzに緩めると、クリティカルパスの長さを1.6倍に増やす事が可能になる。当然パイプライン段数は減らせるし、トランジスタの削減も可能である。SSE3をはじめ全ての機能はインプリメント済だから、この点も問題ない。問題は、これだけの大変更だと物理設計が完全にやり直しになることで、決して簡単に製造に移れるレベルではないことだ。
  • Pentium M(Dothan/Banias)ベース:コア自体は比較的シンプルだし、Many Coreに移行するには良い素性なのだが、いかんせん省電力化のためにClock Gatingを初めとする猛烈な電力管理機構が入っており、トランジスタ数で見ると全然小規模でないのが最大の問題であろう。またEM64Tのインプリメントも必要だし、LaGrande/Vanderpoolに関しても現在のコアではインプリメントされていない(か、入っていても不十分)な可能性が高く、こちらの作業にも手間が掛かる。これをマルチコア化するためには、これまた膨大な手間がかかりそうである。
  • というあたりで、いずれも上手くない感じだ。あるいは未発表の将来リリースする予定だったコアがあった、という可能性もある訳で、このあたりがどうなってくるのかはちょっと興味あるところだが、とにかくこれに関しては発表されるまで何ともいいようがない。そんなわけで、2006年のデスクトップ向けプロセッサはまだ二転三転しそうな雰囲気である。

    表4
    Q1/2005 Q2/2005 Q3/2005 Q4/2005
    プロフェッショナル 765/770 770 780 780
    メインストリーム 725~755
    730~760
    730~760 740~770 740~770
    パフォーマンス
    ローパワー
    758
    733/753
    758
    733/753
    758
    733/753
    758
    733/753
    バリュー 350~370 360~380 370~390 370~390
    バリュー
    ローパワー
    353 373 373 373

    次にPentium Mについてご説明しよう。一時期は2005年第4四半期にリリースされるなんて話もあったデュアルコアのYonahであるが、最終的には2006年第1四半期に延びてしまったため、今年一杯はDothanでカバーする形になる。そのDothanだが、まずAlvisoことIntel 915PM/GM/GMEチップセットの投入にあわせて533MHz FSBへの対応を行ったわけだが、これにより400MHz FSBのPentium Mは第1四半期一杯で終了となり、以後は全面的に533MHz FSBへ移行することになる。ただし第2四半期は特に製品ラインナップに変動なし。第3四半期で2.26GHzの780を投入、これにあわせて730がラインナップから消える形になる。もっとも同じタイミングでCeleron M 390(1.7GHz)が投入されるので、ラインナップに穴があくという訳でもないようだ。一方Low Voltage品についてはPentium M 758が今年一杯そのポジションを維持し、Ultra Low Voltageは現行のPentium M 733(1.1GHz)/753(1.2GHz)とCeleron M 353(900MHz)に加え、第2四半期にはCeleron M 373(1GHz)も投入される模様だ。Pentium 4系に比べると展開は遅いが、現行のPentium M 2.13GHzですら十分に高速で、殆どPentium 4と性能がオーバーラップしつつあるし、メインターゲットはノート系だからそれほど高機能は不要だし、発熱に関する縛りがキツいからそうそう性能を引き上げられる訳でもない。そう考えると順当なところではないかと思われる。

    表5
    ブランド Processor
    Number
    FSB L2 Cache 動作周波数
    Pentium M 780 533MHz 2MB 2.26GHz
    770 533MHz 2MB 2.13GHz
    760 533MHz 2MB 2GHz
    750 533MHz 2MB 1.86GHz
    740 533MHz 2MB 1.73GHz
    730 533MHz 2MB 1.60GHz
    765 400MHz 2MB 2.10GHz
    755 400MHz 2MB 2GHz
    745 400MHz 2MB 1.80GHz
    735 400MHz 2MB 1.70GHz
    725 400MHz 2MB 1.60GHz
    715 400MHz 2MB 1.50GHz
    Low Voltage
    Pentium M
    758 400MHz 2MB 1.50GHz
    Ultra Low Voltage
    Pentium M
    753 400MHz 2MB 1.20GHz
    733 400MHz 2MB 1.10GHz
    Celeron M 390 400MHz 1MB 1.70GHz
    380 400MHz 1MB 1.60GHz
    370 400MHz 1MB 1.50GHz
    360 400MHz 1MB 1.40GHz
    350 400MHz 1MB 1.30GHz
    Ultra Low Voltage
    Celeron M
    373 400MHz 512KB 1GHz
    353 400MHz 512KB 900MHz

    今年一杯はそんな感じで余り動きはないが、ついでにYonahについても説明しておきたい。Yonahに関しては基本的には現在のDothanと同じアーキテクチャを取るようで、Northwood→Prescottの時の様にドラスティックに内部構造が変わるといった事もないようだ。機能的にはSSE3とLaGrande、Vanderpoolは搭載されるが、HyperThreadingとEM64Tは未インプリメントという事になる。もっとも、HyperThreadingに関してはともかく、EM64Tに関しては正直なところちょっと疑問視している。以前の話は、モバイルはおろかデスクトップにもEM64Tは時期尚早で、サーバーとワークステーション向けのみというのが前提だった訳だが、今ではデスクトップにも広くEM64Tをインプリメントすることが既に規定路線として決まってしまっている。モバイルとデスクトップで事情が違う、といえばその通りで、しかも1月に行われた組織変更でもDigital Home GroupとMobility Groupは相変わらず分けられているから、Pentium Mがそのまま直ぐにデスクトップマーケットに入るという訳にはいかないだろう。ただ、片方でメインストリームはおろかバリューセグメントまでEM64Tを推進している以上、MobilityのみならずDTR(DeskTop Replacement)までPentium Mに置き換えているからには、少なくともハイエンドでEM64Tが動かないというのは、整合性を欠くことになる。従って、リリースのタイミングでEM64TがEnableにされているかどうかはともかく、YonahにEM64Tがインプリメントされないというのはちょっと考えられない気がする。

    Yonahの具体的な動作周波数やインプリメントの詳細もまだ謎が多い。そもそもYonahにはYonah-1MとYonah-2Mの2製品があるとされる。前者は1MBのL2キャッシュを持つシングルコア製品、後者は2MB(1MB×2)のL2キャッシュを持つデュアルコア製品である。このYonahも、ご多分に漏れず動作周波数は下がると思われる。当初のYonahは全てYonah-2Mの方で、これに続きバリュー向けのYonah-1MとULV向けのYonah-1Mが出るという話だが、まず動作周波数が依然として不明なままである。これはそもそもIntel自身がYonahの動作周波数を未だに決定していないためのようで、リリースまであと1年もあるので、それほど急ぐ必要がないという点と、Speed Yieldのばらつきが90nmプロセスよりさらに大きくなると思われるために、十分な数のサンプルを作らないと決定できない点の2つが考えられる。それよりも問題なのは、L2キャッシュのサイズが再び1MBに戻ることだろう。特にデュアルコアの場合、メモリバスを2つのコアで取り合うケースが決して少なく無いはずで、普通ならばL2キャッシュのサイズをさらに大きくするか、もしくは共有のL3キャッシュを入れるなどして競合を緩和する手段を講じるのが普通なのに、Dothanより減らしているというのは、コア単独での性能はもとより、トータルの性能としても本当にDothanを超えられるのかちょっと疑問が残る点である。また、後追いで出てくるYonah-1MBも、バリュー向けとは要するにCeleronの事だから良いとして、ULV向けは動作周波数を上げないと性能の逆転現象が起きそうであるが、これをやると今度は消費電力が上がってしまいそうで、かなり微妙なバランスである。正直いって、コアあたり1MBにL2キャッシュを減らさなければいけなかった理由、あるいは減らしても問題ない理由が現時点では全く判らないので、これ以上考えてもあまり効果はないのだが、このYonahの動向はかなり気になるところである。

  • <<
  • <

1/9

インデックス

目次
(1) CPU:Intel
(2) CPU:AMD
(3) メモリ
(4) Chipset:Intel
(5) Chipset:AMD、VIA
(6) Chipset:SiS、ULi
(7) Chipset:NVIDIA、ATI
(8) Graphics:NVIDIA、ATI、XGI
(9) まとめ

もっと見る

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事