前回までのあらすじ】
初めての1人暮らしで、無謀にも内装を全部自分で作ることに決めた私。DIYしてOKな部屋を借り、まずはどうにか天井を塗り終えました。次は「壁」に着手です。

いよいよ左官本番!

前回の記事で紹介した、天井塗装を終えた後、そのまま同じ友人たちに手伝ってもらい、壁全面(ブロック塀部分を除く)を塗ることにしました。使った塗料は、第3回の記事でも紹介した、こだわりの「珪藻土(けいそうど)」です。この素材は泥のようなボテっとした質感。コテを使った「左官」という方法で、わざとラフな塗り跡を残すように塗りつけるのが一般的です。

珪藻土を載せたボードを手に持って「左官」の作業をします

まずは私がレクチャーした後、友人たちそれぞれに"持ち場"ならぬ"持ち壁"をお任せして、私も自分の作業に没頭していたのですが、途中あることに気付きます。「みんな、塗り跡が全然違う!!」。

びっくりしてそう叫んだ後、全員で各々の"持ち壁"を見比べて爆笑してしまいました。ある人はかなり大らかな塗り跡、ある人は逆にどうやったのか不思議なくらい超細密な塗り跡(笑)。幸いにも(?)、私はあまり細かいことは気にしないので、さすがに違和感がある箇所だけ一部軌道修正したものの、後は面白いのでそのまま残しておきました。

塗り跡を残す左官には、性格の違いや男女差が大いに出るように感じます。もし塗り跡に高精度の統一感を求める人は、左官作業は自分ひとりでやるか、私のように、「違う!」と思った瞬間に遠慮なくそれを言える打ち解けた仲間に手伝ってもらうことを手伝ってもらうといいかと思います。

ピンチ到来! 珪藻土が足りない……

左官を続けて、半分くらい終えた時、そのままのペースで塗っていくと明らかに量が足りないことに気が付きました。部屋の広さに対しての注文量は適切だったのですが、思いの外、ぶ厚く塗ってしまっていたようです。ネットで追加注文しようかなとも考えたのですが、作業していた日はゴールデンウィークまっただ中。

数日後に届いた珪藻土を自分ひとりで黙々と塗ることを想像したら、あまりに寂しすぎてぞっとしたので、家から歩いて30分位の場所にある大型のホームセンターまで、友人たちと探しに行ってみることにしました。すると、幸いにも珪藻土を発見! ただ、自分で水を加えて捏ねるタイプの粉状の珪藻土。

元々は、第3回でも紹介した既に捏ねてある親切な珪藻土を使っていたので不安はありましたが、背に腹は代えられないので、その粉珪藻土を購入しました。そして、不安は見事的中。珪藻土を捏ねるのは結構大変! 手伝ってくれた友人のなかに男性がいたので助かりましたが、女性の力だけで泥状まで捏ねるのは相当しんどいと思います。

ただでさえ、上の写真のように左官の板を持ち続けて疲れていた腕が、想定外の捏ねる作業でさらに追い込まれ、次の日は筋肉痛になってしまいました(笑)。

ピンチ? は続く…

とは言え、何とか捏ね終わり、左官作業を再開すると、色が全然違っていたという衝撃の事実。珪藻土にはメーカーによって色味の個性があり、似た色を買ったつもりだったのですが、実際は全然違っていたのです。「まぁでも、これも味だろう」ということで、深く考えずにそのまま塗り上げてしまいました。

角を挟んで左が捏ねて塗った珪藻土。右がもともとの珪藻土

確かに色は違いますが、(あくまで私の場合は)そこまで気にならず生活しています。遊びに来てくれる友だちも、私が言うまで気付かないようです。「材料が足りなくなる」は、DIYあるあるだと思います。入手が難しい材料、運ぶのが大変な材料、失敗する可能性がある材料は、あらかじめ多めに用意しておくことをオススメします。

念願のアクセントウォール

ピンチに次ぐピンチを乗り越えて、何とか珪藻土は塗り終えました。その後、フローリング張り(次回紹介予定)を行った後、私の部屋の問題児であり最大のチャームポイントでもある「ブロック塀」のペイントにとりかかりました。チョイスした色は白ではなく、内装にアクセントを添える癒やし系のミントグリーン。元々好きだったことと、暑い季節も寒い季節も快適に感じるようにと選んだ色です。

塗装直後の様子。据え付けのスポットライトがあたっていい感じです

ただ、一筋縄ではいかないのがDIYの面白いところ。ブロック塀はザラザラ凸凹しているのでペンキのノリが悪く、同時にぐんぐんペンキを吸い込む素材。全くペンキが足りず、珪藻土の時と同様にホームセンターで買い足しました。そうして3度塗り重ねただけあって、かなり気に入った色に仕上げることができました。

天井は黒板にしちゃおう

ワンルームの部屋のあらゆる面を塗り、最後に残ったのは梁(はり)でした。この梁には当時世に出始めていた、「塗ると黒板になるペンキ」を使いました。

黒板ペンキでの塗装を刷毛で仕上げている様子

その頃にはペンキ塗りに相当慣れてきていたので、親友ひとりに手伝ってもらい、音楽をかけながらサクサクと塗って3時間ほどで完了。作業の後、ふたりで銭湯に行ったのですが、数日に及ぶ作業で体中ペンキだらけの私を見て、親友は大笑いしていました。

親友と記念撮影。私の左腕にはペンキがぺっとり

失敗も多々ありつつ、私&友人たちという素人集団だけで、通算3日ほどで仕上げた塗装作業。その日程の途中で挟んだのが、最大の山場「フローリング張り」でした。

(つづく)

著者プロフィール: 木村かさね

都内企業に勤める会社員です。初めてのひとり暮らしをきっかけに、自宅内装を全面的にDIYしたことが話題となり、これまでTVや雑誌等多くのメディアで紹介いただきました。