麺とソース、キャベツと豚肉。これだけでつくれてしまう焼そば。シンプルな料理だが、「激ウマ!! 」といえる程の焼そばをつくるのは意外と難しい。ここでは、中華の料理人に教えていただいた焼そばレシピを紹介。基本のソース焼そばからアレンジ版まで、焼そばの世界を極めてもらいたい。

この連載でレシピ考案をしていただくのは、東京・代々木上原にある中華の名店「老四川 飄香(ピャオシャン)」オーナーシェフ・井桁良樹さんだ。

まずは今回と次回の2回で、読者の皆さんにはオーソドックスなソース焼そばのつくり方をマスターしてもらう。基本的なソース焼そばとはいえ、今回と次回ではつくり方がちょっと違う。今回は具材と麺を一緒に炒める一般的なつくり方、次回は麺を先に一度炒める方法。この違いで仕上がりも異なってくるので要チェックだ。

教えていただいた料理人

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん
2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。

「基本のソース焼きそば」

材料(1人前)
焼きそば用蒸し麺1人前200g/ キャベツ80g/ 人参30g/ 玉ネギ50g/ 豚バラスライス肉60g/ サラダ油大さじ1/ 焼きそばソース大さじ1,5/ 胡椒少々

つくり方

1.焼そば用蒸し麺は冷蔵庫から出し、常温に戻しておく。使用前に手でしっかりとほぐす。キャベツは千切りに、人参は皮をむいて厚さ2mm幅5cmに切り揃える。豚バラ肉は10cm幅でカットする。
2.フライパンを火にかけて油を引き、しっかりと油をなじませてから豚バラ肉を中火で炒める。
3.豚バラ肉に火が通ったところで、1の野菜類を加えてさらに炒める。火加減はずっと中火に。
4.ある程度野菜に火が通ってしんなりしてきたら、塩、蒸し麺を加える。麺が鍋肌にくっつきやすいので注意しつつ炒める。
5.麺が温まったところで、ソース、胡椒で調味する。焦げないように気を付けながら焼き、焼き色がついて香りが出てきたところで火を止め、器に盛り付ける。

麺は洗わず常温に

焼そばを家でつくっている時に、麺が鍋にくっついてはがれない! という状態になりがち。それを防ぐポイントは、麺を常温に戻して手でほぐしておくところにある。また、麺をほぐすために水や湯で麺を洗っている人も多いようだが、せっかく表面にコーティングされた油がとれてしまい、調理のしづらさにもつながる。

鍋にしっかりと油をなじませ、炒める際には鍋をあおったり、菜箸等でしっかり混ぜながら加熱する。すべて基本的なことばかりだが、ゆっくりあわてず、一つずつの工程を手抜きせずにこなせば、ソースの香りもこうばしいソース焼きそばのできあがり。まずは基本のおいしさを堪能してみてほしい。

今回、人参は厚さ2mmに切り揃えているが、これは麺とのバランスや絡みやすさも考えてのこと。仕上がりにもやや食感が残り、食感のアクセントにもなる。豚肉は、脂があっておいしい豚バラ肉がベストだ。

撮影: 石井健