JR東海の新幹線新型車両「N700A」がいよいよ2月8日から走り始める。といっても、外観はN700系とほぼ同じ。違いはロゴマークくらい。しかし、そのスペックをチェックすると、さまざまな改善点があるようだ。

2月8日デビューの「N700A」(写真はJR東海提供)

まずはN700Aの特徴をおさらいしてみよう。JR東海のN700系スペシャルサイト「n700.jp」には、N700Aに関する項目が4つ追加されている。「ブレーキ」「定速走行装置」「インテリア」「環境性能」だ。これらをもとに簡単にまとめると、N700Aは、「一定の速度で走り続け、停止するまでの距離が短くなり、客室の居心地が良くて、環境に優しい車両」と言うことができるだろう。

N700Aではブレーキ性能が向上し、停止するまでの距離が短くなる。裏返せば、高速で走れる距離を長くできるということか。駅に到着するとき、「いつもよりブレーキをかけるタイミングが少し遅いな」と感じるかもしれないが、そこまで気づく人は少なそうだ。

従来のN700系とのわかりやすい違いは客室だ。シート生地のデザインがN700系とは違う。もし車体側面のロゴを見落としたとしても、座席を見て違いに気づく人は多いだろう。シートのクッション素材も変更し、リサイクル可能なポリエステルを使ったという。もしシートのデザインで違いに気づかなくても、座ってみれば違いがわかるかもしれない。

トイレや洗面所などの照明はLEDを使っている。消費電力を節約するためだが、照明の違いも新型車両を感じさせる要素のひとつだ。乗ったらぜひチェックしておきたい。

N700Aの普通車は、N700系の普通車より静かだという。N700系ではグリーン車のみ使われた吸音床構造を、N700Aでは普通車にも採用。N700Aのグリーン車は新たに新型制振パネルを採用しており、グリーン車の乗り心地も良くなっているはずだ。

定速走行装置によって「加速感が減る」

N700Aの座席でくつろぎながら、走行中にもうひとつ気づくことがあるかもしれない。それは「加速を感じる回数が減る」だ。じつはこれがN700Aの性能において最も大きな違いという。その理由は、「定速走行装置」を搭載したことにある。

同装置は自動車の「オートクルーズシステム」に似ている。ドライバーが速度を指定すると、アクセルやブレーキ操作をしなくても、つねに指定された速度を維持しようとするしくみだ。上り坂で速度が低くなればアクセルを開け、下り坂ではアクセルを閉じてエンジンブレーキを効かせる。N700Aもこれに似た挙動を実現する。

ただし、新幹線の定速走行装置はつねに一定の速度というわけではない。カーブやポイントなどに制限速度があるからだ。車の場合、ブレーキを踏むとオートクルーズは解除される。新幹線の定速走行装置は、制限速度がある区間では自動的にその上限を維持し続ける。これが従来とどう違うかを知るために、いままでの運転方法も知っておこう。

惰性→加速運転と「定速走行」の違い

電車運転ゲームをプレイした人なら知っていると思うけれど、列車の運転は「惰性」がメインだ。自動車のようにアクセルのオン・オフを繰り返すわけではない。駅を発車すると、その区間の最高速度まで加速し、その速度に達した後は惰性運転になる。駅間が短い場合、そのまま次の停車駅まで惰性で走り続け、停車駅の手前からブレーキをかけて停止する。

新幹線の場合は駅間が長いから、ずっと惰性で走ると途中で速度が下がりすぎる場合もある。そこで、ある程度の速度まで下がったら、運転士が指示された速度まで加速する。次の停車駅まで、これを何度か繰り返す。勾配やカーブの制限区間では、速度の下がりすぎからの加速という動作もある。

一方、定速走行装置の場合は、つねに小刻みな加速を連続させ、その区間の最高速度を維持しようとする。だからいままでのように、駅を発車してから加速、惰性運行、再加速、惰性運行の繰り返しはほとんどない。駅を出て加速したら、あとは「ほとんど加速感がないまま」次の駅に到達すると予想される。

実際の路線には制限速度区間があり、そこまでに減速し、また加速するという動作があるだろう。しかしこれはN700系も同じ条件。惰性と再加速の組み合わせや、速度の下がりすぎという状況はN700Aにはないだろうから、その分だけ加速を感じる回数は減るだろう。N700AとN700系の乗り心地がどれだけ違うか、ぜひ実際に乗って確かめてほしい。