秋葉原駅は京浜東北線・山手線と総武線が立体交差する。駅周辺は戦後のヤミ市からラジオ部品の街、家電の街、パソコンの街へ変化。現在は「オタク文化の聖地」としても知られ、国内外から多くの人々が訪れる。駅の1日平均乗降客数は23万689人(2011年度)で、JR東日本管内の駅としては第9位だ。じつはこの秋葉原駅、当初は貨物駅だった。

現在の秋葉原駅 - 国土地理院撮影の空中写真(2009年撮影)

秋葉原駅ができた理由は、上野駅の旅客と貨物の集中を回避するためだったという。1883(明治16)年、日本鉄道が上野と熊谷を結ぶ路線を開業し、上野駅が開業した。日本鉄道はどんどん路線を延伸し、現在の東北本線や高崎線など東北方面の路線網を作っていく。

しかし鉄道輸送が活発になると、上野駅に旅客と貨物が集中して大混雑になった。そこで上野駅を旅客専用とし、新たな貨物取扱所を建設した。これが現在の秋葉原駅である。開業は1890(明治23)年だった。

日本鉄道が秋葉原を選んだ理由は2つある。「火除地として広大な土地があった」と「神田川の水運と連絡できる」だ。火除地とは火事の延焼を防ぐために用意された広場だ。江戸時代、「火事と喧嘩は江戸の華」と言われるほど火事が多く、それは明治政府に変わってからも同じだった。1869(明治2)年に発生した大火をきっかけに、東京府はこの地にあった下級武士の居住地域を整理し、火除地とした。そのとき建てられた神社(現在は移設され、秋葉神社に改名)が「秋葉原」の地名の由来になっているそうだ。

上野の陸路より神田の水運

秋葉原駅の南側には神田川がある。この川は江戸時代に徳川家康が整備した。真水を得にくかった江戸の街に神田上水を引き、水害対策として小石川から東へ掘削し隅田川へ流した。神田川は江戸時代に整備された多くの掘割と同様、水運が盛んだった。とくに外神田周辺は青物(野菜)問屋と精米・小売業が多く、神田川沿いは手工業が盛んになったという。

1947年の秋葉原駅付近に船溜りが残っている - 国土地理院出典 米軍提供の空中写真(1947年撮影)

この水運にも日本鉄道は注目した。上野駅の貨物扱いは道路が混雑しており、神田川の水運との接続が得策だったという。開業時の秋葉原貨物駅は地平にあり、神田川から水路を引き込み船溜りが設けられた。この船溜りは現在のヨドバシカメラのあたり。貨物駅はヨドバシカメラと東北新幹線の線路の間の駅前広場あたりにあり、拡張を続けた。

その後、1925(大正14)年に東北本線を延伸する形で東京駅まで高架旅客線が開通し、貨物駅も順次高架化された。1932年には総武本線が開通して、現在のような立体交差駅となった。一方、貨物駅は1975年に廃止されている。

立体交差の秋葉原駅を、『A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』に追加された立体交差駅(大型)で再現してみた

『A列車で行こう9』トリビア - 新たに追加「立体交差駅」のモデルは秋葉原駅!?

このほど発売された鉄道会社経営 / 都市開発ゲーム『A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』には、新たに2種類の立体交差駅(大型・小型)が追加されている。これまで、立体交差駅といえば地上駅や高架駅を組み合わせて作っていたのだが、今後はひとつの駅としてすっきりと再現できるようになった。

立体交差駅(小型)は私鉄の乗換駅にぴったりのサイズ

『A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』

A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』は鉄道会社経営・都市開発シミュレーションゲーム。線路を敷き、列車を走らせ、駅に列車が発着すると都市が発展していく。シリーズ最新となる本作は、鉄道と建物の縮尺を1:1にする機能、架線の追加、ポイントの個別時間設定、建物の追加など、さらにリアルな鉄道風景を再現できる。Windows 8 / 7 / Vista / XP 対応。価格は7,140円(別途本体、建物キット、建物キット2ndが必要)。

企画・開発:アートディンク 販売:サイバーフロント

立体交差駅(大型)は3階建て構造で、1階は駅舎、2階は島式ホーム2面4線、3階は対向式ホーム2面2線。すべてのホームが10両編成に対応する。現在の秋葉原駅によく似た構造だ。立体交差駅(小型)は2階建て構造で、地上、2階とも対向式ホーム2面2線になっている。こちらは8両編成まで対応する。私鉄の乗換駅のような雰囲気になる。

もちろん従来のように、2つの駅を組み合わせた立体交差駅も作ることができる。組み合わせ式の場合、下層階のホームは3番線まで、上層階はホームの数や長さを自由に選択できるので、好みに応じて使い分けよう。また、地下鉄駅を組み合わせる場合は、直角だけではなく、同じ方向の上下にも組み合わせられる。

ふたつの駅を組み合わせた駅。それぞれの駅舎をぴったり付けると一体感が出る

地下鉄駅の場合は同じ方向に重ねられる

列車の速度も選択できる

『A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』では、列車の購入時に速度も変更できる。最高速度はVersion1.0と同じで、そこから-5km/hずつ、最大で-30km/hまで設定可能。この機能により、性能の異なる車両を同じ最高速度でそろえられるようになった。

同じ路線に速度の異なる車両を走らせると、運行間隔が一定にならないのでダイヤ調整に工夫が必要だ。しかし列車の最高速度をそろえておけば、ダイヤ設定の手間が省ける。これで運行間隔を短くすることで、運行頻度も増やせる。なお、最高速度をそろえても加速度が違う場合もあるので注意が必要だ。

列車購入時に速度を6段階から選択できるようになった。最高速度から-30km/hまで選べる

実際の通勤路線でも、新型車両を少しずつ投入して置き換える場合、すべての車両の置換えが完了するまで、新型車両も旧型車両の速度に合わせて走らせることが多い。輸送量を増やすために列車の速度をそろえているのだ。