猫駅長、犬駅長など、動物駅長が人気である。2009年には和歌山電鐵のたま駅長と会津鉄道のばす駅長による「駅長サミット」が開催され、2010年には北条鉄道でサル駅長が誕生した。さて、2011年は卯年。干支にちなんで、うさぎさんの駅長はどこかにいないかと探してみたら、やっぱりいた。山形鉄道フラワー長井線の宮内駅にいる白うさぎの「もっちぃ駅長」だ。

2010年8月に就任したもっちぃ駅長とお世話係の松山愛氏(画像提供: 山形鉄道)

「もっちぃ」は2010年5月27日生まれ。5羽の兄弟のうち「もっちぃ」「ぴーたー」「てん」の3羽が山形鉄道のマスコットとして勤務(?)しているという。このうち、もっちぃだけが白うさぎで、同社の白兎駅にちなんで駅長に就任。勤務地は宮内駅となった。

就任は2010年8月1日。実はこの時、助役として亀も就任しており、宮内駅は「うさぎとかめ」の縁起駅になっているという。もっちぃ駅長の勤務時間は9:00~17:30。水曜日が公休日だ。

山形鉄道動物園計画の第一弾!!

うさぎ駅長誕生の経緯は12年前の卯年までさかのぼるという。山形鉄道フラワー長井線は起点がJR奥羽本線の赤湯駅。そこから12番目に白兎(しろうさぎ)駅があったことから、前回の卯年には赤湯駅 - 白兎駅間の「紅白絵馬きっぷ」を発売した。

次の卯年へ向けた企画について、2009年に公募で採用された代表取締役社長の野村浩志氏が動物好きであったこと、「駅を動物園にして町の人々に愛される鉄道にしたい」という希望を持って入社した松山愛氏の発案で、うさぎ駅長の就任が決まったとの話だ。

当初は、「白兎駅にうさぎ駅長を」との案もあったという。しかし、白兎駅は無人駅などの理由で実現が困難。一方、有人駅の宮内駅付近の熊野大社には、神殿に3羽のうさぎの彫刻があり、「うさぎを全部見つけたら幸せになる」という言い伝えもある。そこで宮内駅勤務に決まった。

同社では、もっちぃを描いた絵馬きっぷ(1,000円)を販売。熊野大社で祈祷を受けたご利益付きという。宮内駅では、もっちぃ駅長にちなんだキーホルダーや絵葉書なども販売している。

山形鉄道のNetトレイン(筆者撮影: 2007年2月)

なお、山形鉄道は旧国鉄長井線を継承した第3セクターの鉄道会社。フラワー長井線は奥羽本線の赤湯駅(山形県南陽市)と荒砥駅(西置賜郡白鷹町)を結ぶ30.5kmの非電化路線である。日本の鉄道で初めて車内に無線アクセスポイントを搭載した「Netトレイン」や、映画『スウィングガールズ』の撮影で使われたことでも知られている。