東北新幹線の新青森駅開業が今年12月4日に決まり、青森県が盛り上がっているようだ。そして新幹線がさらに延伸する予定の北海道側も期待を膨らませている。なんと函館本線のある駅には、すでに新幹線車両が運び込まれていた。なんと気の早いことだろうか。でも、よく見ると動き出す気配がない……。

以前、津軽海峡を巡る旅の途中、北海道でちょっとだけ各駅停車の旅を楽しもうと函館駅06:00発の始発列車に乗った。函館本線は大沼駅と森駅の間で2つのルートがあり、この列車は通称「砂原線」と呼ばれる海寄りの線路を走る。この線路は先に敷かれた路線に急勾配が多かったため、重量級の貨物列車を迂回させるためにつくられたとのこと。

この普通列車がたった1つ通過する駅が「流山温泉駅」だ。早朝の列車だとここからのお客さんはいないんだろうな……とぼんやり窓を眺めていたら、車窓を東北新幹線の電車が横切った。「え、なんだ今の!? 」と最後部に行って運転室の窓から見たら、確かに東北新幹線の200系電車だった。

函館本線「砂原線回り」の始発列車

流山温泉駅を通過……確かに新幹線がいた!

新幹線誘致の強い願いの象徴

「いかめし」で有名な森駅で折り返した。今度の普通列車は流山温泉駅に停車したので、デッキから新幹線車両を撮影できた。下車してじっくり眺めたかったが、この区間の普通列車は1日数本。次は約3時間後。そこまでは待ちきれず、ホームからの写真撮影にとどめた。

流山温泉駅ホームから眺めた新幹線車両

この新幹線車両は実物の200系電車だ。流山温泉を開発した会社が引退した車両を引き取り、東北新幹線の開通を願って保存しているという。引き取った会社はJR北海道の関連会社で、かつてはJR東日本も出資していたとのこと。その縁で車両が譲渡されたらしい。この流山温泉駅も2002年の流山温泉の開発に伴って設置されたという。

ちなみに北海道新幹線は新青森 - 新函館駅が2015年完成予定で着工されているものの、新函館以北は2020年の「目標」となっている。建設ルートを調べたところ、新函館駅は現在の渡島大野駅に設置される予定で、流山温泉駅はできない。また、開業したとしても、200系車両は東北新幹線ではすべて引退しているだろう。流山温泉駅の200系は、北海道に渡った唯一の200系車両になりそうだ。