東京都内のある駅で電車を待っていたら、頭上に黄色い標識があった。正方形を45度傾けたプレートに○が、その下にタテの線、その下にヨコの線を描いている。まるで田舎のバス停のような記号だ。しかし、まさか電車のホームにバスはやってこないだろう。レールの断面図のようにも見えるが、一体この記号は何を示しているのだろうか。

この標識、見たことありますか?

信号機あり! ここを通り過ぎたら引き返せない!

私がこの記号に気づいた場所は東京は神田駅にある中央線のホームだ。よく見ると、裏側に信号機がある。つまり、この記号は「ここに信号機がありますよ」という意味だ。どんなときにこの標識が役立つかというと、電車がホームの所定の位置に停まらず、通常よりも前で停車したときである。私たちがたまに経験する、「停車位置を直します」の車内放送の後で、電車が少しバックする現象だ。

この標識は「信号機はここですよ」の意味。この標識の裏側に信号機が設置してある。車掌さんが振り返ってみたときに見える位置だ

電車が所定の位置よりも前に停車したとき、まず車掌が確認する標識がこれだ。車掌が振り返って後ろを向いたときにこの標識があったときは、勝手に後退してはいけない。なぜなら、信号機のある地点を完全に通過してしまったために、その手前の信号機が青になっており、後続の電車が駅構内に進入している可能性がある。勝手に下がれば追突事故になってしまう。停止位置を後退させる場合は、運転指令に連絡し、後続の電車の位置を確認して、安全を確保する必要がある。

しかし、車掌がホームに降りて、この標識が前方にある、または見えないときは、信号が切り替わっておらず、1つ手前の信号は赤のまま。後続の電車は1つ手前の信号機より前で停止するため、独自の判断で自分の電車を後退させてもいいというわけだ。もしあなたが駅でこの標識を見かけたら、その付近には必ず信号機がある。探してみよう。

総武線の水道橋駅。標識のある位置の線路の右側に信号機が設置されている

京浜東北線の大森駅。京浜東北線の信号はデジタル方式で運転台に表示されるため、この付近では信号機は見えない。しかし、ここが信号の切替ポイントであることを示している