【連載】

中古バイクを格安レストア

1 予算5万円、男子高校生の憧れだったゼロハンバイクをレストアしよう!

 
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昨年連載していた「予算3万円でバイクレストア!」は楽しんでいただけただろうか? 予算を3万円に限定し、スクーターのレストアに挑戦したが、なんとか目標通り(700円超過したが…)完成させることができた。

当連載でレストアするのはスズキ「ウルフ50」。1982年に発売された「RG50ガンマ」をベースに、1989年に登場した。写真の車両は、車体番号から1993年頃の製造と思われる

今回からまた新たなバイクをレストアしていく。予算を少し上積みして、1980年代の男子高校生がみんな欲しがったゼロハンスポーツバイクを現代に蘇らせる。

予算5万円ならスポーツバイクも余裕!? ベース選びがカギを握る

この連載では、レストアするバイクとパーツ、塗料などの購入費用を合計5万円以内とし、手軽に楽しめるレストアの世界を紹介していく。使用する工具や自賠責保険はここに含まないが、高価な工具は使わず、できるだけホームセンターで入手できるような一般的な工具だけで作業していく予定だ。誰でも庭先で楽しめる趣味のレストアのお手本となるように進めていきたい。

さて、前回までのレストアでは、3万円という予算の厳しさから、ほとんど選択の余地なくスクーターを素材として選んだ。今回は5万円と予算を大幅(?)アップしたので、本格的なスポーツバイクも余裕でレストア! となるだろうか……。

じつは今回、マニュアルトランスミッションのスポーツバイクをレストアしてみたいという希望があり、それに合わせて予算を5万円に増やした。しかし、これでもかなり厳しい予算なのだ。狙いは50~125ccまでのスポーツバイクだが、こういったバイクは20~30年前のモデルでも、中古車で10~20万円くらいする。最も人気の高いホンダ「NS-1」などは、発売時の新車価格を超える30万円以上の中古車も珍しくないほどだ。

エンジンのかからないサビだらけのレストアベース車両、部品取り車両でも、かなりしっかりした相場があり、下手するとベース車両だけで予算が底をつくことになりかねない。予算5万円を実現するためには、ベース車両を選びが第一関門だ。パーツ購入費用を見越して、なんとか2万円以内で手に入れたい。

開けてみなければわからない! ちょっと危険な「ウルフ50」を発見

早速ネットでベース車両を探したが、やはり2万円の予算ではなかなかいい車両が見つからない。まったくないわけではないが、あまりに程度のひどいものは避けなければならない。パーツの予算が限られていることもあるが、それ以上に、手軽に楽しめる範疇の作業でレストアできる車両でなければならないのだ。

これはかなり難しい。それでも数日探して、注目すべき車両を見つけた。車種は「ウルフ50」。某ネットオークションで即決2万円となっている。ぱっと写真を見て、かなり程度が良さそう(あくまでレストアベースとしては)に見えるのに、こんなに安い理由は2つある。

古びた感じはあるものの、2万円とは思えない外観の「ウルフ50」。これで走れないとはもったいない。復活させてあげたくなるバイクだ

当時(おそらくいまでも)クラス唯一だった角パイプダブルクレードルフレームは新品のようだ。ガソリンタンクにも凹みがない

正面から見るとかなり細身。ゼロハンスポーツの共通の特徴といえる。フロントフォークのインナーチューブにサビが少ないのもうれしい

ひとつは、車種が人気の高いホンダ「NS-1」やヤマハ「TZR50」ではなく、スズキ「ウルフ50」だということ。「ウルフ50」は「ガンマ50」のバリエーションモデルで、レーサー風の「ガンマ50」に対してカウルレスのネイキッドスタイルとしている。しかし、新車販売時もいまも、人気モデルとは言いがたい。だから相場も安いのだ。

もうひとつの理由は、この車両のキックが降りないこと。キックが降りないということは、エンジン内部に重大なトラブルを起こしている可能性があり、そんな車両を欲しがる人は少ない。それはそうだ。いくらレストアベースとはいえ、エンジンが壊れているバイクをわざわざ買おうとは誰も思わない。だから安いのだ。

しかし、じつはこういった車両こそ狙い目だ。エンジンがダメというと、直感的に買わないほうがいいと思ってしまうが、原付のエンジンのパーツは安く手に入るし、修理も簡単とまでは言わないが、さほど難しくはない。キックが降りないといっても腰上、つまりピストンやシリンダーの交換で直るケースが多いし、運悪く修理できないほどひどい状態だったとしても、中古エンジンの価格は意外と安い。

レストアのベース車両で避けたいのは、エンジンよりもむしろガソリンタンクやフロントフォーク、シート、それに特殊なサイズのタイヤであって、これらが使用不能だった場合、修復するのはきわめて難しいし、中古パーツはエンジンより高価になってしまう場合がままある。もちろんエンジンがダメになった車両が大歓迎というわけではなく、エンジン交換となってしまえば、いくらエンジンが安いといっても予算は非常に厳しくなる。そこはエンジンを開けてみなければわからない。しかし、予算が限られている厳しい状況を考えれば、この車両にかけてみる価値はある。

まず各部をチェック - レストアというより修理に近い作業になるかも

この車両はスタート価格1万5,000円となっていたので、あわよくばこの金額で、と思っていたが、やはり競り合って2万円での落札となった。幸い近い地域からの出品だったので、自分で取りに行って、送料はかからなかった。では、各部のチェックだ。

外観は「ウルフ50」の特徴であるフレームのカバーが取り払われているものの、他には外装の欠品はないようだ。フロントフォークのインナーチューブもほとんどサビはなく、このまま使えそう。ブレーキの固着もない。エンジンのボルトがことごとく真っ赤に錆びているのはスズキ車のお約束だが、やはり全体的に程度はかなりいい。また、チェックしてみて、改めてこのモデルはレストア向きだと感じた。

ホイールはキャストなので、塗り直せば新品同様になる。必ず錆びていて、しかもそのサビをどうすることもできないスポークホイールとは大違いだ。フロントフォークのインナーチューブにほとんどサビがないのも奇跡的。もうひとつ、うれしかったのがシートで、レストアベースのお約束通り、表皮が破れているのだが、このシートは1枚の平らなビニール表皮が使われている。そのため、車種専用のシート表皮が必要なく、自分で安価に張替えができるのだ。

メーターの数値は約1万1,000km。1万2,000回転まで刻まれたタコメーターや立派な水温計には驚かされた

水冷2ストロークエンジンは50cc上限の7.2PSを発揮。ぱっと見た限りでは、おかしな改造の痕跡もない

キックレバーがこの位置から動かない。簡単に修理できればいいが…

ガソリンタンクの中はサビだらけ。サビの除去はできるが、それによって穴が空いてしまったら交換するしかない

シートは穴だらけ。しかし、表皮に縫い目などはなく、汎用の1枚のビニールシートで張替えができる

なんと鍵が5本も付いてきた。2種類の鍵とそのスペアで、メインキーとガソリンタンクは同じ鍵、シート/ヘルメットホルダーが違う鍵になっている

もし専用シート表皮が必要で、しかもそれが市販されていなかった場合、専門業者で張り替えてもらうしかない。その場合は最低でも1万円以上かかる。さらに、このモデルはタイヤがありふれたサイズなので、タイヤも安く入手できる。唯一残念なのは、ガソリンタンク内がひどく錆びていること。もしかすると使えないかもしれない。

今後のレストアのプランだが、この車両の場合、すべてをリセットして新車同様に生まれ変わらせることをめざす必要はないように思われる。生かせる部分は生かして、たとえば外装の塗装は塗り直さずに、現状の塗装を磨くなどする。古びた部分があっても年式が古いのだから当たり前ととらえて、しかし手入れが行き届いた小ぎれいな雰囲気にする。それが似合いそうだ。

そのため、レストアというよりは修理に近い作業になるかもしれない。手始めはエンジン。次回は、エンジンを始動するところまでを紹介する。

レストア必須アイテムを紹介! 「パーツリスト」

「パーツリスト」とは、その名の通り部品の一覧表。車種ごとにすべてのパーツが記載されており、その部品番号を使うことで大量のパーツを間違いなく注文・購入できる。また、各部の構造を知るための図解として活用することもできる。

「ウルフ50」のパーツリスト

パーツリストはレストアの必需品だが、かつてはその入手が難しく、あやふやな噂を頼りに遠くのお店まで買いに行ったりしたものだ。それがいまでは、ネットで検索すればすぐに見つかり、数回クリックするだけで購入できる。しかも今回購入した「ウルフ50」のパーツリストは500円で送料込みと格安だった。

なお、日本のバイクメーカー4社のうち、ヤマハとカワサキはインターネットでパーツリストを無料公開しており、パーツリストを購入する必要すらない。

ここまでのレストアに費やした金額

品名 金額
車両購入(スズキ「ウルフ50」) 2万円
パーツリスト 500円
合計 2万500円
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インデックス

連載目次
第7回 タイヤを新品に交換する
第6回 前後サスペンションをオーバーホールする
第5回 サビだらけのガソリンタンクを再生させる
第4回 苦労の末、やっとエンジンがかかった!
第3回 エンジンをフルオーバーホールする羽目に…
第2回 キックレバーが降りないエンジンを開け、出てきたものは…
第1回 予算5万円、男子高校生の憧れだったゼロハンバイクをレストアしよう!

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