前回に引き続き、JR「日暮里」駅周辺を攻める。今日の一杯は「六文そば」。「六文」は「六文銭」からきているのだろうか、黄色い看板に勘亭流っぽい書体で書かれた看板のこの店、実は日暮里以外にも人形町や末広町なんかにもあったりする。今回訪れたのはその中で「日暮里第1号店」と呼ばれる、駅前のビル(ステーションガーデンタワー)の3階に入っている店だ。

「六文特選そば」(税込460円)

看板メニューは「ゲソ天そば」

六文そばの他の店舗は、どちらかというと硬派で殺伐としているというか、常連の店っぽい雰囲気があるのだが、こちらはさすが駅前のテナントという風情。店外の券売機、明るい店内、流れるFMラジオ、である。

実はこちらの店も前回の「一由そば」同様、名物は「ゲソ天そば」。しかし、前回のそばと重なってしまうのも芸がないので、ここは「六文特選そば」(税込460円)を注文。内容はよく分からずに買った。入って正面のカウンターに「温かいそばで」と告げつつ、差し出す。

手前側に立ち食いスペースが少し。奥に向かって厨房と接する形で着席のカウンター席がある。キャパは12~13人だろうか。広くはないが、夕暮れ時の訪問でこの時の客は自分だけだった。店内はきれいで、整然としている。生麺からゆでているからだろうか、3分くらいは待つ。

待った甲斐のある麺に豊かな具材

特選そばはこちら写真の通り。あげとてんかすで、きつねとたぬきのいいとこ取り。それにわかめ、さらにゆで卵が浮かんでいる。そばと一緒に差し出される刻みネギはセルフで入れ放題。カウンターには刻み唐辛子があるのが、これもまた前回と同じだ。

さすが待っただけある麺の味。ゆで置きにはない微妙な歯ざわりが、立ち食いそばに似つかわしくない。つゆはさっぱり、やや甘め。具はどれもそばに合わないわけがないもののオンパレード。ゆで卵は半熟だった。このラインナップだと、冷たいそばでもおいしいだろう。

「六文そば」へはJR山手線「日暮里」駅から徒歩2~3分

壁には女子栄養大学短期大学がプロデュースしたという「おきあみとちくわのかき揚げおろしそば」のポスターが貼ってあった。名前だけでおいしそう。2回目はぜひこれにしたい。

※記事中の情報は2016年11月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。