新潟県の「へぎそば」というそばをご存知だろうか。つなぎに「ふのり」という海藻を用いたそばのことで、独特の食感がある。今回紹介する「がんぎ」(東京都中央区)は都内で、しかも立ち食いで、この「へぎそば」を味わえるお店だ。東京メトロ東西線・日比谷線の「茅場町」駅、徒歩2分程。永代通り沿いに赤い看板で店を出している。

「椎茸五目そば(温)」(520円)の麺は、新潟の郷土料理「へぎそば」を使用

煮しめた椎茸が載ったぜいたくな一杯

引き戸から中へ。中央にスタンドテーブル、その周りにカウンター。全て立ち食いのみ。壁には雑誌や新聞、ネットで取り上げられた時の拡大コピーが所狭しと貼り出されている。食券機は一台。こちらで購入したのは「椎茸五目そば(温)」(520円)。奥の厨房で渡す。

よく見回すと、日本酒のメニューや、おつまみ各種のメニューもある(そばより多いほど! )。実はこちらの店、17時以降は立ち飲み居酒屋に早変わりするのだ。価格帯もリーズナブルで、近隣で働くサラリーマンにはうれしい。

3分程でそばが到着。具は盛りだくさんで、煮しめた椎茸の他に、かまぼこ、ゆで卵、ワカメに刻みネギが載せられているぜいたくな一杯。しかし、やはり注目したいのは具よりも麺。シコシコした歯ざわりとツルツルとした喉越しは、これまで食べてきたそばと全く違った不思議な食感。これがまた、ダシがしっかり効いた上品なつゆとよく合い、全体的なボリュームも申し分なし。

2つの看板をもつ「がんぎ」は、昼は昼の、夜は夜の味わいがある

立ち食いそばとしてはほんのりと高価格帯だが、納得の味だ。ランチで訪れた次の機会には、ぜひ夜、お酒とともにたのしみたい。

※記事中の情報は2016年3月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。