「立ち食いそば」。スタイルにも味にも日本らしさが詰まったそれは、忙しいビジネスパーソンにとっても魅力的な一杯である。そんな立ち食いそばをぶらりと食べ歩きをしてみようではないか。その一杯目は「加賀」である。

揚げたてアツアツのかき揚げがドーンと入った「かき揚げ玉子そば」(税込520円)

「加賀」へは東京の京王新線「初台駅」を北口から上がってわずか5秒。まさに"駅そば"と呼ぶにふさわしい好立地だ。向かいに見えるのは新国立劇場。西新宿の高層ビルがいくつも立ち並ぶ中、その角地に店を構えている。

ネギも好みでたっぷりと!

白い暖簾(のれん)がよく目立つ。軒先に献立をズラズラと並べるようなことはなく、控えめにも見える。AMラジオが流れる店内はカウンターの立ち食いスペースのみ。5~6人が限度か。入り口付近の小さな券売機で「かき揚げ玉子そば」(税込520円)を購入。L字カウンター内の店員に「そばで」と言って渡す。メニューにはうどんもあるので、お好みで。

セルフで水をくみ、じっと待つこと5分。天ぷらは揚げ置きではない。こちらの名物にもなっているジャンボサイズのかき揚げは、特に時間が必要だ。この3cmはありそうなかき揚げに、生玉子をトッピングしたのが「かき揚げ玉子そば」になる。

揚げたてでアツアツサクサクのかき揚げは、大きめに切られたタマネギの甘みが強い。麺は歯切れがいい。少し甘めのつゆに溶けてトロトロになったかき揚げが、二度うまい。卓上には小口切りのネギが置かれており、自由に入れ放題なのもうれしいポイントだ。

「加賀」は白い暖簾が目印

帰り際、店員から「お気をつけて! 」の声がかかる。目的地でなく、道の途中にあるのが"路麺"の魅力だ。新宿からも徒歩圏内、散歩がてらふらりと立ち寄ってみてはいかがだろうか。

※記事中の情報は2016年2月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。