やっぱり魅力的なアユタヤ

この連載の第1回でスコータイ遺跡をご紹介したのを覚えているだろうか。その際に「アユタヤよりスコータイ!」と言ったものの、実は僕がスコータイに行きたいと思うようになったのは、それ以前にアユタヤ、そしてタイの東北部の遺跡を旅したからだ。そこで、今回は、世界遺産の街アユタヤ、カンボジア・アンコール王朝の影響を強く受けたロッブリーという2つの街を紹介しよう。

バンコクから車で1時間ちょっとで行けるアユタヤは、日本からの観光客も多数訪れる遺跡の街。遺跡が残る街というより、遺跡の中に街があるといった趣だ。古くは日本の戦国時代、駿河国から海を渡ってアユタヤにやってきた山田長政は、日本人町を束ねてアユタヤ王朝の要職に就くまでになった。現在では日本をはじめ百社以上の外資企業がアユタヤ郊外の工業団地に進出しており、日本から出張で来る人も多い。そんなアユタヤにある遺跡群は世界遺産に指定されており、タイ観光の定番中の定番である。

タイのアユタヤ遺跡は、ほとんどの仏像に首がない。ビルマ(現ミャンマー)軍の進攻、あるいはその後の盗難などで、なくなってしまっているそうだ

このとおり、アユタヤ遺跡は朽ち果てた遺跡。修繕されている建物だけはきれいだが、神秘的な遺跡を思い描いていくと、ちょっとがっかりするかも

あまりにも有名なワット・プラマハタート。戦乱で破壊された仏像の首が木の根に囲まれて、こんなふうになったという

ワット・プラマハタートは、アユタヤ王朝の菩提寺。もっとも、ビルマとの戦乱でほとんどが焼き払われてしまっており、当時の華やかさは感じられない

アユタヤ観光は、バンコクからのツアーが手軽だが、アユタヤまで列車やバスでやってきて、現地で"トゥクトゥク"を頼むというのも楽しい。トゥクトゥクとは、サムロー・タクシーの愛称で、三輪のバイクのような車のようなタイではよく見かける乗り物。窓がない(というか、屋根しかない)トゥクトゥクは、交通量の多いバンコクだと排気ガスまみれになってちょっと厳しいが、バンコクほど交通量の多くないアユタヤなら、結構爽快な気分で楽しめる。観光客目当ての運転手なら、片言の英語か日本語で交渉可能な人も多いので、一度交渉してみよう。1日チャーターして7~900バーツぐらいなら、まあOKといったところだろう。

タイでよく見かける乗り物「トゥクトゥク」。乗ってみると、排気ガスを思いっきりあびるし、揺れがひどくて車酔いしそうになるしで、決して快適な乗り物ではない。でも、のんびりと遺跡巡りするには、悪くない

アユタヤ遺跡は非常に整備されていて、ちょっと観光するにはとても楽。東南アジアは初めてという人でも、ストレスなく楽しむことができる

ワット・パナンチューンはクメール時代からある非常に古いお寺。建物内には黄金の仏像があり、現地の人も多数お参りに訪れている

ワット・プラシーサンペット は、アユタヤ最大の寺院。3塔ある仏塔にはそれぞれ歴代の王の遺骨が納めれていたそうだ

ワット・ロカヤスタ は全長約28 mの 寝釈迦仏像。遺跡群から少々離れている分、観光客が少なくてのんびりできる

このように、アユタヤは街中のいたる所に遺跡を見ることができる。夜にはライトアップされるところも多いので、ナイトツアーも人気だ。また、象に乗って遺跡の周りを回ることもできる。2、3時間あれば主要ポイントは回れるので、バンコクやアユタヤ出張中のちょっとした空き時間を潰すには最適。だが、もう少し時間がとれるなら、もう1つ是非訪れてほしい場所がある。それはロッブリーという街だ。次回はロッブリーについてたっぷりとご紹介する。