いつの時代も恋に悩める男女は多いもの。ここでは、弊誌人気連載「理系のための恋愛論」の酒井冬雪先生が、皆さんの恋愛に関する悩みにお答えします。恋愛に悩んでいる人、まずは先生に相談してみましょう!

心優しくまじめな夫と対極の男性に恋

30歳会社員(女性)です。夫は28歳で同じく会社員です。結婚4年目なのですが、最近、私に気になる男性ができました。仕事で付き合いのある男性なのですが、すごくモテそうな人で、「いいなぁ」と思う反面、「こういう人と付き合ったら大変だよ」という直感もあったりします。夫はとにかく優しくてまじめなタイプ。気になる男性とは対極な感じです。

でも、私は浮気がしたいわけでも離婚をしたいわけでもありません。いま、自分自身の愛情が夫ではなくその男性にあるのですが、どうすればその愛情を夫に向けることができるか、というのが相談内容です。

夫はとてもいい人です。結婚前から私のことを第一に考えてくれ、昨年私の兄(独身)が入院した時は、遠方に住んでいる両親に代わって何度もお見舞いに行ってくれました。パジャマやバスタオルを持っていったり、入院・退院の手続きも率先してやってくれました。私の両親のことも大切にしてくれ、「ご両親、さみしいと思うからそろそろ帰省したら? 」と飛行機のチケットを用意してくれたりもします。

とてもいい人なんです。彼の想いに報いたいんです。どうすればよそ見せずに夫のことだけを見ていられるのでしょうか。

"ヨロメキ"対象を変えてみましょう

気になる男性ができてしまった……。それは困りましたね。私は、自分の父親がしょっちゅう気になる女性をみつけてしまうタイプの人だったので、子どものころからそれはもう、小さな胸を傷めてハラハラのし通しでした。

結婚している人が他に恋愛をすると、必ず周囲の人をキズつけることになる。見えない誰かをキズつけずにおれないという大前提があると知ってほしいなと思います。相談者さんの夫が、そういった心の変化に気づかなかったとしても、相談者さんの親しい人や家族の中に気づいてしまう人は必ずいるものです。気づかれてしまったら、周囲の人をハラハラと心配させて困らせたりキズつけたるすることになってしまいます。そういったアクシデントが起きないよう、「いかん、いかん」と自分の心にムチ打ってほしいところです。

とはいえ、結婚生活は長く続くものですから、気になる男性ができてしまうこともあると思います。反対に、相談者さんの夫に気になる女性ができてしまうことだってあるかもしれません。

たとえそんな時がきたとしても、それは心の中だけにして、ちょっと後ろめたい気持ちがある私……むふふと楽しむ。そんなふうに自分の胸の中だけで、楽しみつつ密かに終わらせてしまってはどうでしょう。三島由紀夫先生の言うところの美徳のヨロメキというやつですね。

私が思うに、身近にいる人にヨロメいてしまうと、ついついリアルな恋愛に向かいがちで、誰でも自分のあやうさが心配になってしまうものです。ですから今後は、韓流スターやアイドル、俳優さんだとか、アニメの主人公、まったくの空想上のオリジナルな男子など、できる限り自分と遠い存在をヨロメキ対象にしていくといいかもしれません。

よそ見以上のことは絶対せず、よそ見をしてしまったいけない私を楽しんで、そんな後ろめたさから「ごめんね」と、夫をもっともっと愛してあげる、という感じでいかがでしょう。

相談者さんの夫のように、やさしく、言っていることとやっていることが一致している男性ってなかなかいないと思いますよ。ぜひとも「ハッ、いけない。本当にヨロメくところだった」というところで立ち止まって、やさしい夫にこれまで以上にやさしくしてあげてほしい気持ちでいっぱいです。