昨年秋以降の株式市場の暴落で、少額からでも投資がしやすくなり、株式投資へのハードルはぐっと低くなりました。とはいえ、はじめて株式投資にチャレンジする人や限られた資金で複数の銘柄に投資したい人のなかには、1万円あるいはそれ以下で個別株の取引ができたらと思う人もいるでしょう。

そんな人たちが利用してみるといいのが単元未満株。その名の通り単元に満たない株の売買ができるもの。単元の10分の1の資金で取引できるミニ株が代表的ですが、ネット証券ではプチ株、S株、まめ株など1株単位から売買できるものもあります。

これらの単元未満株取引は、証券会社ごとに行っているサービスで、プチ株はカブドットコム証券、S株はSBI証券、まめ株はジョインベスト証券が取り扱っています。

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いずれの単元未満株取引も1株単位から個別銘柄の売買ができます。取り扱い銘柄は東証、大証、JASDAQに上場している銘柄で最低単元が1株超の銘柄に加え、プチ株とS株は名証、札証などに上場している銘柄も売買が可能です。つまり、投資銘柄選びは通常の株式売買とほとんど変わらずにできると言えるでしょう。

また配当も株数に応じて受け取れ、株の名義もミニ株のように証券会社名義ではなく、単元株と同様に投資した人自身の名義となります。

ただし、単元未満ゆえのデメリットもあります。

その一つは株の議決権がないこと。また売買のタイミングが限られていることもデメリットの一つです。

通常の単元株取引の場合、場が開いているときに注文を出せばその後すぐに市場に発注されますが、単元未満株の売買は通常1日2回。前場と後場の始値で売買することになります。そのため「この値段で買いたい(売りたい)」といった指値注文は不可。すべて成行注文となるため、発注のタイミングによっては思った値段とかけ離れた株価で約定する可能性もあるので注意が必要です。とはいえ、1日1回しか売買チャンスのないミニ株に比べれば使い勝手は上回ると言っていいでしょう。

また1日2回売買チャンスがあるので、前場の寄付で買って後場の寄付で売るといった日計り取引も可能。しかし場が開く前に発注をしておく必要があるため、デイトレードにはあまり適していないと思います。短期で売買を楽しみたいと考えるのであれば、1週間や1カ月といった少し長めのスパンで相場を見て売買するウィークリートレードやマンスリートレードが向いているでしょう。

またお目当ての銘柄を少しずつ買い増していきたいと考えている人にもピッタリ。1万円から自動積立のように株を購入できる商品には「るいとう」がありますが、単元未満株と比べると銘柄数が限定され、また証券会社によっては管理手数料がかかります。そのような理由で今までるいとうを見送っていた人は、単元未満株なら自分の予算に合わせてコツコツと買っていくことで同じような効果が得られます。

売買手数料はプチ株の場合、約定代金の0.945%(税込み・最低105円)。ただし約定代金が105円以下となる売却の場合手数料は0円となります。S株の手数料は約定代金の0.63%(税込み)、まめ株は0.84%(税込み・最低105円)。通常の単元株の売買手数料に比べると少し割高になります。

単元未満株は買い増しをした結果、最低単元に達すれば単元株として売買ができるようになるので、少しずつ買い増して売るのはまとめてと考えている人にも向いています。

投資初心者で無理なく株式投資にチャレンジしたい人は、これらの単元未満株から検討してみるといいのではないでしょうか?

執筆者紹介 : 堀内玲子氏

主な略歴 : ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。
FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。
著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。