5月に突入し、新入社員もそろそろ会社に慣れ始めた頃でしょうか。日々の仕事に追われ、「ああ、学校に戻りたい」なんて、つぶやいている人にお薦めなのが、懐かしい学校の給食が味わえる「給食当番」(台東区元浅草)。給食メニューがいろいろとそろった隠れた有名店。4人以上で予約すれば、なんと「教室」で給食が味わえます。給食ディナーも楽しめますよ。

「たいへんよくできました」の看板が目立っているので、お店はすぐにわかる。あげぱんのテイクアウトも人気だ

懐かしい、と思っていたらクセになる

都営大江戸線新御徒町駅A3出口からすぐ、JR御徒町駅北口からは徒歩約8分、春日通りに面した「給食当番」は、ユニークな看板とにぎやかな店先が目印です。店内は居心地の良いウッディーなつくりで、壁には有名人の色紙がびっしり。1990年のオープン以来、コンスタントにメディアに取り上げられてきました。

お客の層はいろいろですが、平日は会社員やOL、土曜日は家族連れが中心。親子で昔と今の給食話で盛り上がるなんて姿も、よく見られるそうです。

以前、料理関係の仕事をしていた給食当番の社長、方伊儀(かたいぎ)さんは、子どもの頃楽しみだった給食を出す店がほとんどないことから、「給食当番」のオープンを決めたそうです。始めるに当たっては、息子さんが通う小学校の給食を参考にしたのだとか。

オススメは「スペシャル給食セット」(1,500円)。あげぱん(味は、さとう / きなこ / ココア / シナモン / カフェラテの5種類)にソフトめん、クジラの竜田あげ、ミートソース、カレーシチュー、肉だんごスープ、春雨サラダ、牛乳が出てくる、まさに給食フルコースです。しかも、牛乳はミルメーク! 付き。コーヒー / ココア / いちご / メロン / バナナ / 抹茶きなこから選べます。

そのほかにも給食メニューが目白押しですが、地方の給食メニューがあることもユニーク。北海道の「サーモンとポテトのグラタン」、名古屋の「手羽先のポン酢やわらか煮」、大阪の「こてっちゃんのピリ辛ネギまみれ」など、目移りしてしまいそうな程のラインナップ。「給食のフルーツサンド」や「冷凍みかん」といったデザートも、何度も通いたくなってしまいたくなる充実ぶり。懐かしいと思って味わっていると、ついついクセになってしまうのが「給食当番」なのです。

1階の定員は30人ほど。家族的な雰囲気も漂う、ちょうどいい広さだ

机、イス、黒板、ランドセルなどなど、すべてが懐かしいアイテムばかり。仲間や家族と一緒にここで食べる給食メニューはまた格別

2階にはパーティールームという名の「教室」が

「給食当番」の2階には、学校さながらの「教室」まで再現。思わず声をあげたくなる(!?)ほどリアルです。こちらは4名から20名まで利用OK。予約が必要ですが、是非是非、こちらで給食を味わってもらいたいもの。メニューは3種類ありますが、やはり「給食コース」がオススメで、春雨サラダ、肉だんごスープ、くじらの竜田あげ、メルルーサのフライタルタルソースがけなどなど、実に盛りだくさんです。

ちなみに、ここで同窓会を開くお客も結構多いとのこと。高校生用の机とイスに座って、みんなで給食を囲めば、昔にタイムスリップしたかのようで、またひと味もふた味も違ったにぎやかなパーティーになること間違いなしです。また、新年会、忘年会などもおおいに盛り上がること必至なので、マンネリに苦しむ幹事さんは「給食当番」をご検討してみてはいかがでしょうか。

「クジラ、懐かしいなぁ」と目を細める上司の横で、部下が「これって給食に出てたんすか?」なんて首を傾げたり、「おれたちの頃は牛乳じゃなくて、脱脂粉乳でなぁ」という上司に「何ですか? それ」と部下が怪訝そうな顔をしたり……。給食をめぐって世代ごとの話が食い違い、新しいコミュニケーションが生まれる? ような気もします。

メニューには久々に耳にする単語がいろいろ。単品も充実しているので、そちらもお試しを

ビン牛乳、牛乳をワンランクアップさせるミルメークと紙に包まれたあげぱん

いずれにしても、普段の食事とはまったく違った、給食という「思い出(楽しかったことも、嫌だったことも)」が、いっぱいいっぱい詰まった料理は、派手ではなくささやかだけれど至福のひと時を約束してくれることでしょう。

あ、忘れてました。ビールなどのアルコールもありますので、そのあたりが気になっていた方もご安心? を。「脱脂粉乳ハイ」ってのも用意されてますよ。