おいしいコーヒーの淹れ方を知る方法の1つとして、コーヒーセミナーへの参加がある。「入ってみたいけれど何度も通うのはちょっと……」という方にオススメなのがキーコーヒーのコーヒーセミナーだ。ハンドドリップやサイフォン、エスプレッソ抽出、ラテアートがたった1日で学べる講座が用意されている。ここからは、同社が開催している講座の1つである「カプチーノ講座」を紹介する。

一般にも話題のラテアート

皆さんは"ラテアート"をご存知だろうか。エスプレッソにスチームドミルクを注ぎいれ、リーフやハート、さらにはウサギや女の子などの絵を描いていく"技"のことを言う。

ちょっと話がそれてしまうが、プロのバリスタ向けの国内大会としては、「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ」が有名で、弊誌でも何度か取り上げてきた。しかし、今年からラテアートを競う大会「ジャパン ラテアート チャンピオンシップ」が新設。業界内で、ラテアートの重要度は高まってきているように思える動きだった。

だが、こういった動きは業界内だけのものではない。動画サイトを見ていくと、一般からのラテアート動画が数多く投稿されていることに驚かされる。家庭用のエスプレッソマシンで練習を積み、プロ顔向けのラテアートを施す人もいる。

1955年から50年以上にわたってコーヒーセミナーを開催しているキーコーヒーでも、ラテアートが学べる「カプチーノ講座」は特に人気を集めているという。そこで、ここからは難易度の高いラテアートのコツを丁寧に教えてもらえる「カプチーノ講座」の様子をお届けしていく。

「カプチーノ講座」の様子

「カプチーノ講座」で使用するテキスト

この「カプチーノ講座」、1回完結のセミナーである。1回の所要時間は2時間30分で、受講料は3,150円。他に、ホットコーヒーやアイスコーヒーのドリップ方法を学ぶ講座、エスプレッソの抽出をマスターする講座などがあるが、基本的には1回完結。気軽に参加することができるのがうれしい(ただし、カッピングなどを学ぶ「コーヒー学基礎講座」は全3回)。今回は昼間の講座を取材したが、仕事帰りの参加も可能な19時スタートのナイトレッスンもある。

この日のインストラクターである橋爪透さん

キーコーヒーのセミナーは実習におもきを置いている為、定員はどの講座も12人~15人で、講師の目がしっかりと行き届く。取材当日の「カプチーノ講座」は、20代と思われる男女や年配層まで幅広い層が参加していた。この日のインストラクターである橋爪透さんによると、一般の方はもちろん、カフェや喫茶店開業希望者、すでにカフェで働いている人らが参加しているのだそう。

講義が始まると、まずはカプチーノを構成するエスプレッソとフォームドミルクのつくり方を教わる。その後はお待ちかねの実習タイム。エスプレッソを抽出し、ミルクをスチーミング。そして、ハートもしくはリーフのラテアートに挑戦する。しかし、やはりラテアートは難しい。恐る恐るミルクを注ぐも、ラテアートを描けないままあっという間にカップ内はミルクで満たされていく。失敗の連続で落胆する生徒の皆さん……。

その後、エスプレッソの上にラテアートが浮かび上がってくる"理論"や、失敗する理由を教わる。失敗する理由の大半は、スチーミング不足やフォームドミルクを注ぐ際の勢い不足にあるという。さらには、クレマが少ないなどといった不完全なエスプレッソでも、ラテアートは美しく仕上がらない。

橋爪さんのフォームドミルクづくりを見ていると簡単そうなのだが、実際にやってみると難しい。写真右は橋爪さんによるカプチーノ

基本通りに抽出したエスプレッソ。スチームノズルの位置に注意しつつ、きめの細かいフォームドミルクをつくる。ミルクを注ぐ時は躊躇せず。この3点を意識しつつ、再度実習に取り掛かる。すると、先ほどより成功率がアップ! 上手にリーフ模様が浮かび上がる人もいて、手ごたえを感じていたようだ。

筆者もラテアートに挑戦! 以前、スチーミングにチャレンジした際、ミルクを周囲にまき散らしてしまったことがあり、恐る恐るのチャレンジ。でも今回は橋爪さんが指導してくれるので安心だ

ウサギのラテアートにチャレンジ。絵を描くのに時間がかかってしまい、フォームが崩れてきてしまったが、完成したときはやっぱりうれしい!

その後は、カフェマッキャートやカフェコンパンナといったアレンジのエスプレッソドリンクについて解説。エスプレッソとフォームドミルクをマスターすると、こんなにもコーヒーの世界が広がるのだとワクワクしてくる。さらに最後には、混同しやすいカフェ・ラテ、カプチーノ、カフェ・ラッテ、カフェ・オ・レ、カフェ・クレームなどの違いをしっかりと教えてくれた。このあたり、読者の皆さんも実はきちんと説明できないのではないだろうか。こういう"盲点"を突いてくれるのも、受講者としてはうれしい限りだ。

左がラッテマッキャート、右がカフェマッキャート。どちらも橋爪さん作

実習の時間がたくさんあるので、2時間30分はあっという間に終了。筆者はひそかに「今度は他の講座も参加したい……」と考えていたのだが、やはりリピーター率は高いのだそう。その理由は、1回完結で参加しやすいという点だけではなく、セミナー内容の濃さにもあるのだろう。

最後に受講者全員に修了証書が手渡され、オリジナルカプチーノカップのお土産もついてきた。キーコーヒーの定期セミナーは、講座ごとに修了証書とそのセミナーに合ったお土産がつく。このあたりも受講後の満足度の高さにつながっているのだろう。

セミナー終了後にいただいた修了証書