カフェラテやカプチーノ、キャラメルマキアート……。いまやカフェではおなじみのドリンクとなっているこれらのメニューは、すべてエスプレッソがベースとなっている。エスプレッソとは、コーヒー豆の旨みや風味が凝縮された"コーヒーのエキス"のようなもの。通常のコーヒーカップを小さくした「デミタスカップ」といわれるカップで提供され、量は店にもよるが約30ml。イタリアのカフェでは、ミルクやチョコレートソースなどを加えずに、砂糖だけを入れたエスプレッソを飲む客の姿をよく見かけるが、日本ではそのような飲み方をするお客は少ないように思う。

表面に浮かぶクリームのようなクレマのやさしい口当たりや、キャラメルを思わせる風味はエスプレッソ特有のもの。ドリップコーヒーにはない味わいを持つエスプレッソをじっくりと楽しむためにも、まずはイタリアのように砂糖のみを加えて楽しんでもらいたいものだ。

イタリア人のように、まずは砂糖だけ加えてエスプレッソを堪能したい

抽出には専用のマシンが必要

エスプレッソを家庭で抽出するにあたって、最大のハードルとなるのはマシンではないだろうか。エスプレッソを淹れるためには、エスプレッソマシンが必要となるからだ。エスプレッソマシンには抽出時に圧力をかける機能がついており、ドリップコーヒーを淹れるコーヒーメーカーとは構造が全く異なる。

そこで今回は、家庭用エスプレッソマシンでは世界一の生産量を誇るというサエコインターナショナルの日本法人、日本サエコのショールームにお邪魔し、エスプレッソの淹れ方を教えてもらった。使用するのは同社の家庭用マシン「手動式エスプレッソ&カプチーノマシン サエコ マジックカプチーノ」(61,950円)。

「手動式エスプレッソ & カプチーノマシン サエコ マジックカプチーノ」

製品名に"手動式"とある。では、手動式ではないマシンがあるということか。答えはYES。エスプレッソマシンには全自動タイプもあるのだ。こちらは、あらかじめコーヒー豆をマシンに付いているコーヒー豆用の容器に入れておけば、ボタンを押すだけで自動的に豆を挽き、エスプレッソを抽出してくれる。一方手動式は、抽出の度にホルダーと言われるハンドルが付いた部分にコーヒー粉をセットする必要がある。家庭用と業務用では性能や大きさに違いはあるが、コーヒー専門店の多くは、微妙な加減ができる手動式のエスプレッソマシンを導入している。全自動は手軽さが魅力的だが、せっかくなら専門店で働くバリスタ(コーヒーを淹れるスタッフのこと)のように、エスプレッソを淹れてみようではないか。

ということで、手動式を選択したものの、やはり初心者の方は「本当にちゃんとエスプレッソを淹れることができるのだろうか」と不安だろう。そこで、お助けアイテムを紹介する。

手動式のマシンを使う専門店の多くは、ホルダーにコーヒー粉を入れた後、タンパーと呼ばれる道具で粉に圧力をかけ、粉の表面を平らにするというタンピング作業を行っている。このタンピングこそが重要で、エスプレッソの味を大きく左右し、難易度も高い。しかし、心配することはない。エスプレッソの抽出に最適なコーヒー粉が1杯分ずつパックになっている「コーヒーポッド」というアイテムがあれば、タンピングの作業は不要だ。ホルダー内にポッドを入れたら、後はマシンにホルダーをセットするだけ。コーヒーポッドは1個1個包装されているので、たまにしかコーヒーを飲まなくても常に新鮮な豆を使うことができる。そんな心強い味方を得たところで、いよいよエスプレッソの抽出に入るとしよう。

今回使ったのは日本サエコのポッドコーヒー「サエコ カフェ ポシェ(アラビカ種100%)」(1パック7g入×36個で2,625円)

エスプレッソを淹れる

1.エスプレッソマシンの背面にある給水タンクに水を入れる。
2.ホルダーにコーヒーポッドをセット。
3.抽出ボタンを押して、30mlを抽出したら再度ボタンを押して抽出をストップ。この間、15秒程度。
4.抽出の様子。
5.エスプレッソのできあがり。

完成したエスプレッソを見ると、表面にはクレマが浮かんでいる。「表面にタイガースキンと呼ばれる琥珀色の縞模様ができているのがベストな状態です。弊社のマシンは、初心者の方でもクレマができやすい構造になっています」と日本サエコ広報・小野寺祐子さん。コーヒー豆の味わいがギュッと凝縮されたエスプレッソで、ドリップコーヒーとは違うコーヒーの世界を楽しんでもらいたい。

さて、次回はエスプレッソを使ったアレンジドリンク編。「せっかくマシンを買ったなら、とことんエスプレッソを楽しみたい!!」という方のために、小野寺さんに考えてもらったメニューを紹介していく。