機内でインターネットが使える時代になってきた。JALや全日空、シンガポール航空、ルフトハンザ・ドイツ航空などが続々と日本発着の国際線でサービスをはじめている。

アメリカ国内の大手航空会社では一足先に普及し、今や当たり前になっている。先日、デルタ航空に乗ったときにトライしてみた。空の上なので接続状態を心配したが、なんの問題もなかった。もちろん高度1万mの上空で地上の無線LANは使えない。送信も受信も衛星を介してになる。アジアやアメリカ、ヨーロッパと地域によって使う衛星は違うものの仕組みは同じだ。速度が遅くなるようなこともなかった。考えてみれば機内にいる乗客の人数は決まっている。都心の花火大会のときのように大人数が一挙にネットにアクセスして通信障害を起こす事態は起こり得ない。実際、メールもSNSもブログもすこぶる順調に利用できた。

デルタ航空のアメリカ国内線「INTERNET ONBOARD」サービスは1フライト=9.95US$~

実は、機内インターネット接続サービスはすでに多くの航空会社が実施している。ただ、一部の飛行機材でしか利用できないため、あまり広く告知していない。そんな面もある

航空会社が提供するサービスではあるが、有料であり、その料金は外部の会社に支払う。ネットにアクセスする前にクレジットカード決済をする。プランは搭乗1回きりのものから1週間、1カ月など様々で、よく飛行機に乗る人は長期契約もありだろう。料金は1搭乗1,000円前後が相場だ。ただ、同じ航空会社でも利用できるかどうかは飛行機の種類(機材)による。長期プランに入るならその点も見極めたい。

ビジネス客からの反発があった機内ネットサービス

「Wi-Fi ONBOARD」のマーク。同じデルタ航空アメリカ国内線にて

機内インターネット接続サービスは2000年代半ばに一度、かなり普及した。航空機メーカーのボーイング社が提供した「コネクション・バイ・ボーイング」というサービスで、数多くの航空会社が採用したが、突然のようにサービスを中止した。アメリカ系の航空会社が採用しなかったのが原因だと言われた。

では、なぜアメリカ系が採用しなかったのかといえば、顧客から「やめてくれ」との声があがったからだ。

航空会社にとってビジネス客はリピーターであり上級クラスを使う大切な顧客だが、企業の責任者的な立場にあるビジネス客から「機内ではゆっくりしたい。空の上にいるときくらい仕事のメールから開放されたい」と、航空会社に機内でのネットのサービスを採用しないように訴えたというのだ。それなら、今回はどうしてそうならなかったのだろうか。おそらく当時以上にネットが普及して仕事にも生活にも欠かせないツールになったことと、当時ほどネットやメールに"アレルギー"を持つビジネス客が減ったからではないだろうか。

「いま機内にいま~す」

Facebookなどにそんな書き込みが増えるのが、目に見えるようである。