今回の主人公、Deepa Kulkarniさん(女性)は豪雨の中、建物に駆け込み(明確には記載はされてませんが、たぶん主人公が住む集合住宅)、ぬれたブーツを脱ごうと出入り口のところに手を置き寄りかかった、そのとき……犬が外に飛び出さないよう、そこに居合わせたその犬の飼い主が出入り口の扉を勢いよく閉めてしまったんです・・・・そしてその扉はDeepaさんの小指を直撃……!!

次の瞬間、彼女が覚えていることは:床にころがっている彼女の小指の先端。そして動揺しながらも犬に取られまいと、慌ててその小指を拾ったこと。多量の出血でポーッとしてる中、この2つのことだけは何故か今でも鮮明に覚えているんだそうです。

その後、救急車でご主人とともに病院へ。"ER(救急処置室)"に運ばれた彼女は当直医に指の復位手術を頼んだんですが、それは無理とあっさり断られ、頼み込んで呼んでもらった専門医("orthopedic surgeon" 整形外科医)からも、

"An orthopedic surgeon concurred with the ER doctor, and made an additional recommendation: He'd have to amputate even more of the finger so it would heal properly."とあるように、救急処置室の当直医と相談後「本来なら正しい回復の為に、もう少し指を切り落とすべきですね」と言われ、さらには復位を試みたとしても"there was a 100 percent chance of failure."「100%失敗するでしょうね」とまで言われてしまったんだとか!?

納得がいかないDeepaさんは、その場での治療は拒否。とりあえず包帯をしてもらい痛み止めをもらっただけで帰宅し、切断した小指は冷凍庫に保存。医療技術の進歩が著しい今、何か方法はあるはずと信じつつ、次の日からはインターネット検索に没頭したんだそうです。

そして彼女がたどり着いたのが"60 Minutes"というテレビ番組と"Oprah"というパーソナリティーが司会をしているトーク番組のホームページ。そこには復位法ではないんですが、比較的新しい医療技術"tissue regeneration((生物)組織再生法)"によって、切断された指が蘇ったという人たちの話が載っていたんです。

早速、祈るような思いでそこに記されていた医師、"Dr. Badylak"にメール。次の日には"Dr. Badylak"の同僚の一人と名乗る人から"tissue regeneration"の詳しい施術方法を記したメールが送られてきたんです。ただしそのメールによるとこの新技術を施術できる医師が未だ少なく、残念ながらDeepaさんが住む地域には一人もいないということでした。

でもここでDeepaさんがとった行動がまたユニーク。彼女は"Dr. Badylak"の同僚から送られてきた施術手順の他にもこの"tissue regeneration"についてありとあらゆる情報を集め、それらを持って最寄りの、一度もこの手法を試みたことがなく、あまり乗り気でなかった整形外科医に、最後は「やってみましょう」と言わせてしまったのだから驚き。

施術内容はというと:

  1. cleaning out the finger and removing scar tissue -- a process called debridement
    指の切断箇所をきれいに洗い、"scar tissue(瘢痕組織)"を取り除く-- この行程は"debridement(局所の創面切除)"と呼ばれるもの
  2. dipping one's finger into MatriStem wound powder
    "MatriStem wound powder(マトリステム外傷粉)"に浸ける

とたったこれだけ。

そして何となんと、"After seven weeks of treatment, her fingertip grew back."とあるように、7週間後には、彼女の小指は見事に成長し元の形に戻ったんだそうです!?!?

"Even now it's not perfect. It's shorter than the other pinky, but just by looking at it you can't tell it was an amputated finger," she says. "I'm able to do everything I could do before. I wash dishes. I cook."と彼女曰く「完璧とは言えません。もう一つの小指よりは短いです。でも見た目では切断された指だとは到底思えない状態だし、以前出来ていたことは今は何でも出来ます。皿洗いだって、料理だって……」、だそうです。

今回のURLは、Woman's persistence pays off in regenerated fingertip - CNN.com

興味がある方は是非チェックしてみてください。切断時の指、復元後の指の写真も載っています。

また"60 Minutes"と"Oprah"のホームページはこちら:

Growing Body Parts - 60 Minutes - CBS News
How One Man Grew a New Finger - Oprah.com

英語ワンポイント:

体の一部を切断することを英語では"amputate"、そして切断された部位のことは"amputated ○○"と言います。

※○○には"amputated arm"とか"amputated leg"のように、体の切断された部位を表す言葉が入ります。

ではまた次回。