夏時間とも呼ばれるサマータイム。日本ではあまり聞きなれない制度だが、欧米を中心とした世界70カ国で導入されているという。サマータイム導入による目的や効果は、実際いかなるものか。在日外国人20名に、「サマータイム制度」は良い制度だと思うか聞いてみた。

Q. あなたの国ではサマータイムは導入されていますか?

はい:12カ国
いいえ:7カ国

Q. 仕事をする上でサマータイム制度は良い制度だと思いますか? その理由は?

■ サマータイム賛成派

  • 「導入されています。電気を節約するのが良いことだと思います」(スペイン・30代前半・男性)
  • 「導入されています。それに慣れているからかもしれませんが、とてもいいと思います。電気代も安くなりますし、環境にもやさしいです。仕事にもいいと思います。朝4時に明るくなっていても、仕事のProductivityにつながらないです(大体会社員は8時~9時の間に出社しますので、4~5時間は多数の人々が有効に使えません)。逆に18時過ぎてどんどん暗くなっていくと集中力も減ってくると感じます。暗くなったら、脳は寝る時間が近づいていると認識して、疲れが早めに出てくると思われます。ぜひ日本にも導入してほしいです」(イタリア・20代前半・女性)
  • 「サマータイムはあります。良い制度だと思います。時間の有効利用ができるからです。暑いときは朝早くから仕事をした方が効率が良いと思います(特に農家の場合は)」(パラグアイ・50代・女性)
  • 「されています。季節によってちょっと雰囲気も気持ちも変わってくるので、良い気分転換になると思います」(シリア・30代後半・男性)
  • 「サマータイムはありません。サマータイムはいい制度だと思います。時間を有効に使える」(インド・30代前半・男性)
  • 「されていない。良い制度だと思います。朝陽には、たくさんの利点があるからです」(ペルー・40代前半・女性)

■ サマータイム反対派

  • 「母国ではサマータイム導入されています。出勤の時間はまだ暗くて、効果的にあんまりよくないと思います」(スペイン・40代前半・女性)
  • 「サマータイム制度はあります。海外との時間合わせが複雑になるため、私は不便だと感じます」(ドイツ・30代前半・男性)
  • 「サマータイムは導入されていますが、ない方がいいいと思う。あまり昼光節約にならないし、朝に1時間早く起きるのは大変」(ポーランド・30代前半・男性)
  • 「サマータイムありますが、今時はあまり要らないと思います。時計を変える日は混乱が多くて迷惑です」(アメリカ・30代前半・女性)
  • 「導入されていません。サマータイム導入することによるメリットがよくわからないので、良い制度だとは思いません」(タイ・40代前半・男性)
  • 「いいえ。現在サマータイムはありません。以前サマータイムがあった時、出勤時間が早く、昼が長く感じられ、過ごしにくく感じました」(エジプト・30代前半・女性)
  • 「はい、やっている州とやっていない州があります。牧場だと、かなり不便なものです」(オーストラリア・30代後半・女性)

■ その他

  • 「導入されている。良くも悪くもないと思う」(ロシア・20代前半・男性)
  • 「ネットで意味を検索したらDaylight savings timeとのことらしいですが、夏と梅雨という二つの季節しかないフィリピンではやる意味がないです。日本の場合、みんなが働き過ぎるので、とてもいい考えだと思います」(フィリピン・30代後半・女性)
  • 「サマータイムはないと思いますが、東南アジアの仏教国では4月に行われる正月休みがあります。その時、3日から1週間休みになることが多いです」(カンボジア・20代前半・男性)
  • 「はい、導入されています。仕事とはあまり関係ないと思います。夏はかなり遅くまで明るくて、活動や遊びができるのは良いと思います」(ハンガリー・30代後半・女性)
  • 「サマータイムはない」(マレーシア・40代前半・男性)
  • 「ないです」(香港・20代後半・男性)
  • 「されています。仕事したことがないので、なんとも言えません」(中国・20代前半・女性)

総評

日照時間が長い夏場に、国や都市などが標準時を1時間早めるサマータイム。導入している国は20カ国中、12カ国だった。

サマータイムの利点は、「電気の節約」と「時間の有効利用」にあるようだ。夕方の明るい時間帯の活動を1時間長くすることで、照明の点灯開始時間が遅くなるなど、一定の省エネ効果が得られるよう。また、就業後も明るいため、いわゆるアフター5を有効に使うことができ、そこから経済の活性化に繋がることも。

「朝陽には、たくさんの利点がある」「暗くなったら脳は寝る時間が近づいていると認識する」という声もあった。"脳も体も陽を浴びることで目覚め、活発に動く"と言われているが、だとすれば、サマータイムは仕事の効率UPにも繋がる制度と言えそうだ。

一方で、「出勤時間が早く昼が長く感じられて過ごしにくい」「朝に1時間早く起きるのは大変」と、不満の声も多かった。また、「牧場だとかなり不便」「暑い時は朝早くから仕事をした方が農家の場合は良い」「夏と梅雨の二季しかないフィリピンではやる意味がない」など、職業や気候によっても意見はさまざまだ。

賛否両論のサマータイム。国が違えば、気候も習慣も違うもの。四季のある日本、時間に正確な日本人にとって有効か否か。導入を検討するのであれば、"全ての地域に適した制度ではない"ということを踏まえた上で、議論する必要がありそうだ。