ビザ・ワールドワイドはこのほど、世界100都市を対象とした、デジタル決済の利用増加が与える経済的影響に関する調査結果を発表した。

年間最大約4,700億米ドルの純便益が発生

同調査では、現金の利用を抑え、カードやモバイルなどの電子決済の利用が拡大することで、消費者、事業者、政府の3グループにおいて「即時的かつ長期的な便益が生じる」と予測。これらの包括的かつ直接的な純便益は、対象100都市全体で約4,700億米ドルに達する可能性があり、この金額は対象100都市の平均GDPの3%に当たるという。

消費者については、年間280億ドル近くに及ぶ直接的な純便益を達成する可能性があると予想。この効果は、最大32億時間に及ぶ銀行業、小売業、運送業における業務時間の短縮や、現金にまつわる犯罪の減少といった要因により、もたらされるとしている。

事業者については、年間3,120億ドルを超える直接的な純便益を達成する可能性があると試算。要因として、最大31億時間に及ぶ決済の入金・送金の処理時間の短縮、オンライン・店舗における顧客層の拡大による売上増加などを予想している。また現金や小切手の場合、1ドル受領するごとに事業者側に7.1セントのコストが発生するが、デジタル決済の場合、1ドルの受領に対するコストは5セントである点も指摘している。

政府については、年間1,300億ドル近くの直接的な純便益を達成する可能性があると予測。要因としては、税収の増加、経済成長の促進、管理の効率化による費用の削減、現金関連の犯罪の減少に基づく犯罪関連司法費用の低減などを挙げている。