ちいさなアトリエ「大切に受け継ぐもの」

赤ちゃんを迎えることとなると、あれこれと準備をしなくてはならないことがたくさん。そんな頃に夫の母に教わった、ものにまつわる大切なことと、我が家に受け継がれたおもちゃについてのお話です。

妊婦として過ごす日々に、楽しみにしていたことといえば、生まれてくる赤ちゃんを想像しながら、洋服を手作りしたり、おもちゃを選んだりすることでした。しかし実際のところ、想像していた以上に体調は優れないし、仕事柄得意だと思い込んでいた“夜なべ”や“時間を忘れるくらいの集中力”は、すっかりなくなってしまい、お買い物も億劫になってしまう日々。

ああ、なかなか思い描いていた通りに赤ちゃんの身の回りのものが揃えられないなあ、とため息をついていたときのこと。夫の母から「新しいものを揃える前に、とっておいたものがあるから、使えるものがあったらぜひ使ってね」といくつかの段ボールを見せてもらうことになりました。

その箱の中には、夫とお兄さんが赤ちゃんの頃に使っていた、ガラガラや歯がため、飴色になった木のおもちゃ達。

みんないつか再び出番がくると、倉庫の中で眠っていた愛らしい品々。そのひとつひとつには、しっかりと役目を果たした歯形や傷あとが残っていて優しい手ざわりのものばかりです。