東京大学の研究グループは9月7日、スマートフォン向けゲームアプリ「Pokemon GO」が労働者の心の健康の保持・増進に有効なことを解明したと発表した。

日本の労働者におけるPokemon GO playerとNon-playerの心理的ストレス反応の変化(出典:日経プレスリリースWebサイト)

働く人の心理的ストレス反応が現象

東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻精神保健学分野 川上憲人教授および同博士課程の渡辺和広氏らの研究グループは、同ゲームが労働者のメンタルヘルスを改善する効果に着目。2015年11月から追跡していた日本に住む正社員・正職員の労働者2,530人を対象に、2016年12月に同ゲームを1カ月以上継続してプレイしたことがあるか、および心理的ストレス反応の程度について調査を実施した。

その結果、同ゲームを1カ月以上継続してプレイした労働者(246人、構成比9.7%)は、約1年前と比べて心理的ストレス反応が減少し、心の健康状態が改善する傾向にあった。一方、プレイしていない労働者(2,284人、同90.3%)は、ほぼ変わらないことがわかった。この結果は、対象者の年齢・性別などの属性、喫煙や飲酒などの生活習慣、仕事の量的な負担などの仕事の要因を考慮した上でも同じだったという。

同研究グループは、「ゲーム性を備えたコンテンツによるメンタルヘルス改善のための介入は、従来の介入方法と比較して、メンタルヘルスの問題に興味のない人々や、メンタルヘルスの問題を抱えていながら通常のメンタルヘルスケアにアクセスできないような人々にも有効である可能性がある」とし、今後はゲームがメンタルヘルスを改善するメカニズムの検討や、より厳密な効果検証のための研究を進めていくとしている。