日本生産性本部は6月29日、「生産性及び賃金と物価・消費に関する推計」を発表した。政府が「未来投資戦略2017」で掲げている生産性上昇率2%とする目標と、賃上げや物価(CPI)を2%アップさせる取り組みについて、これらの関係を定量的に推計した。

生産性上昇及び賃金上昇が物価に及ぼす影響

賃上げに結びつかない場合、物価は下落

それによると、政府が進めるサービス産業の労働生産性向上(年率2%)が実現しても、それが賃金上昇に結びつかない場合、物価は0.7%下落すると推計。一方、サービス産業の生産性向上(同)が、(物価を押し上げる効果のある)2%の賃金アップを伴った場合、物価は0.04%上昇すると予想している。

しかし、サービス産業の労働生産性が上昇しないまま、賃上げのみを実施した場合、賃上げが物価を押し上げた分だけ年金生活者の実質購買力が減少するため、個人消費は0.1%下落すると予測。2%の賃上げだけでなく、サービス産業の生産性向上を同時に進めることで、個人消費は0.77%拡大すると推計している。

サービス産業の生産性と賃金が共に2%上昇した場合の消費への影響を品目別にみると、教育が1.68%上昇、教養・娯楽が1.11%上昇、被服・履物が1.10%上昇などとなった。

同法人は「サービス産業の生産性向上と賃上げを同時に進めることが、物価の上昇や個人消費の拡大を可能にする上では重要」と指摘している。