米Microsoftは5月2日 (現地時間)、米ニューヨークでプレスイベントを開催し、「Windows 10 S」を発表した。Windows 10 Proに相当する機能を備え、利用できるアプリケーションをWindowsストアからのアプリに、そして既定のブラウザをMicrosoft Edgeに限定することで、高度なセキュリティと安定性、優れたパフォーマンスを実現する。

2017年のTeacher Appreciation Week(先生に感謝する週: 5月8日~12日)に合わせて、Microsoftは教育に関する取り組みと新製品を発表するイベント「Learn what's next」を開催した。Windows 10 Sは、学生や教師、教育関係者の声をヒントに、生産性の高いWindows 10の体験はそのままに、教育の現場で求められる安全とパフォーマンスを実現するように設計した。

名称の「S」は、「シンプルで合理的 (Streamlined)」「安定したパフォーマンス (Superior Performance)」、「高度なセキュリティ (Security)」を示す。また、イベントにおいてMicrosoftのTerry Myerson氏は「今日のWindowsの魂 (Soul)」という意味も含まれると述べていた。学校や教育機関での使用に適したWindows 10だが、教育向け限定ではない。安全性が最優先されるニーズに応え、そしてMicrosoftのビジョンが込められたWindows 10である。

Windowsストア以外からアプリケーションをインストールしようとすると「Windowsストアから入手する必要があります」というリマインダーが表示され、同様の機能を持つWindowsストア・アプリが提示されることもある。

最大の特徴は、使用できるアプリケーションがWindowsストアから入手できる互換性のあるアプリに限られること。Windowsストアの審査をクリアしたアプリのみに絞り込むことで安全と信頼性を確保する。Microsoftは現在パートナーとWindows 10 S互換を確認する作業を進めており、6月以降に互換性に関する情報を公開する。Windowsストアで提供されているアプリであってもWindows 10 S非互換で使用できない可能性もあるが、Windowsストアから他のPCにインストールできるほとんどのアプリがWindows 10 S PCでも使用できるようになる見通しだという。教師や管理者などがWindows 10 S非互換のアプリやデバイスを使う必要がある場合は、Windowsストアを通じてWindows 10 Proに切り替えられる(Windows 10 Proから10 Sへの切り替えは不可能)。

Windowsストアでは様々なブラウザが提供されているが、Windows 10 SではMicrosoft Edge以外のブラウザを既定のブラウザに設定できない。htmlファイルをクリックした時などは、既定のブラウザとしてEdgeで開かれる。また、Edge/ Internet Explorerで既定の検索プロバイダーもBingから変更できない。

MicrosoftはLearn what's nextイベントにおいてWindows 10 Sを搭載した薄型軽量ノートPC「Surface Laptop」を発表した。またAcer、ASUS、Dell、富士通、HP、Samsung、東芝といったパートナーが新しいWindows 10 education PCを提供する予定で、価格が「189ドルから」とChromebookに対抗できる価格帯もカバーする。

Surface Laptop

パートナーからもWindows 10 S搭載の教育向けデバイスが数多く登場