起案者がインターネットなどを経由して、プロジェクトの賛同者から資金を調達する「クラウドファンディング(Crowdfunding)」をご存じだろうか。

片渕須直監督による劇場版長編アニメ『この世界の片隅に』(原作:こうの史代さん)の公開実現に当たって活用されたこのシステム。同作品はのん(能年玲奈)さんを声優に起用したことでも話題になり、観客動員数130万人を超えるヒットを記録。あわせて、映画化実現の重要な軸となったクラウドファンディングにも注目が集まっている。

そこで今回はマイナビニュースの会員606名に「クラウドファンディングに対する認知度と出資経験」を尋ねるアンケートを実施した。

Q1. あなたは「クラウドファンディング」を知っていますか?

・はい……55.0%
・いいえ……45.0%

Q1. あなたは「クラウドファンディング」を知っていますか?

Q2. あなたはクラウドファンディングに出資した経験はありますか? (クラウドファンディングを知っている方/n=333)

・ある……22.5%
・ない……77.5%

Q2. あなたはクラウドファンディングに出資した経験はありますか? (クラウドファンディングを知っている方/n=333)

Q3. どのようなプロジェクトに出資しましたか? また、そのプロジェクトに出資した理由を教えてください (クラウドファンディングに出資経験がある方/n=75)

被災地支援

・「東日本大震災の支援に絡む事業。お世話になった地域の子供たちのためになるから」(45歳男性/山形県/サービス/その他・専業主婦等)
・「東日本大震災復興プロジェクトの寄附金として出資」(33歳男性/滋賀県/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「被災地で野菜を育てるプロジェクト」(26歳男性/秋田県/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)

町おこし、地域支援

・「別府市が募集した『湯~園地』計画。地元のイベントだったので協力できればと思いました」(45歳男性/大分県/旅行・観光/販売・サービス関連)
・「福岡の保護猫のカフェを作るプロジェクト。猫が好きなので、少しでも殺処分される猫が減るように」(40歳男性/福島県/その他/その他・専業主婦等)
・「神戸のフェス『カミングコウベ(COMIN'KOBE)』に出資した。フェスの存続危機でフェスを行って欲しかったから」(26歳女性/兵庫県/その他/その他・専業主婦等)
・「『大坂城豊臣石垣公開プロジェクト - 太閤なにわの夢募金』のクラウドファンディング。大阪市に住んでいるので大坂城は近くにあり非常に身近で親しみのある大阪のシンボルですが、今の大坂城は徳川幕府によって作り直されたものなのでそこが市民府民にとって引っかかる所です。大坂城は豊臣秀吉が作ったものだということをせめて石垣でもいいので明らかにし公開したいという意義のあるプロジェクトに賛同しました」(48歳男性/大阪府/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/営業関連)
・「北海道の廃止になった鉄道の駅を保存する。その路線が好きだったから」(50歳男性/東京都/その他/その他・専業主婦等)

エンターテイメント関連

・「『SMAP大応援プロジェクト』に出資しました。SMAPのために何かしたかったので」(50歳女性/福島県/サービス/その他・専業主婦等)
・「購入型(クラウドファンディング)。無名の劇団壱劇屋。劇団公演という目標を達成してほしいから」(31歳女性/大阪府/銀行/事務・企画・経営関連)
・「作家の同人誌の出版に出資。ファンなので」(24歳男性/埼玉県/その他/その他・専業主婦等)
・「友人の知人が映画を制作するらしく一口頼まれた。地元を題材にするらしく、自分にはできなかった夢を追う人に応援の意味合いを込めて」(51歳男性/宮城県/専門店/営業関連)

障害者支援・医療関連

・「障害者スポーツ支援。自分にできることだったから」(43歳女性/東京都/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「離島での救急患者を搬送するのに使われる医療用飛行機を購入するもの。絶対に必要なものだから」(54歳男性/福島県/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「医療関係。将来に役立つことだから」(24歳男性/兵庫県/化粧品・医薬品/営業関連)

ものづくり関連

・「便利なはさみをつくるためのプロジェクト。役に立ちそうなので」(59歳女性/東京都/その他/その他・専業主婦等)
・「マグネット式のUSB充電ケーブル」(36歳男性/兵庫県/官公庁/販売・サービス関連)
・「造形作家のおもちゃ製作。市販にはない、よい作品の商品化なので」(44歳男性/山梨県/その他/その他・専業主婦等)
・「うなぎの養殖」(43歳男性/福島県/広告・出版・印刷/技能工・運輸・設備関連)
・「美容師さんたちの普及イベント。街を様々なヘアースタイルで練り歩く。娘がモデルとして選ばれたため。5,000円投資した」(45歳男性/長野県/システムインテグレータ/IT関連技術職)

ビジネス・投資関連

・「風力発電プロジェクト。利回りが高いので」(40歳男性/埼玉県/流通・チェーンストア/営業関連)
・「ベンチャー企業のソフト開発のプロジェクトに出資した。理由は自分が興味ある分野だったのと、仕事をしていて今後需要がありそうで売れると思ったから」(24歳男性/東京都/食品/その他・専業主婦等)
・「IT投資。利益が上がると思ったから」(38歳男性/東京都/クレジット・信販/営業関連)
・「以前の会社に勤めていたときの同僚が、新会社を立ち上げ、砂漠の緑化を進めるプロジェクトを始めるに当たってクラウドファンディングの募集を行っていたので、出資した」(44歳男性/神奈川県/サービス/事務・企画・経営関連)
・「宇宙旅行。楽しそうだから」(46歳男性/兵庫県/医療用機器・医療関連/その他技術職)

総評

調査の結果、クラウドファンディングの認知度は約6割、出資経験がある人は約2割だった。

出資経験者が最も多かったのは被災地などの地域支援に関わるプロジェクトだ。東日本大震災の復興支援や豊臣秀吉が築いた大坂城の石垣公開、温泉と遊園地の融合という奇抜なアイディアで話題となった「湯~園地(ゆ~えんち)」計画に出資したという人もいた。

エンターテイメント関連では、映画製作や同人誌出版などの制作支援から、2016年末に解散した人気グループ「SMAP」への応援メッセージを8ページにわたって新聞紙面に掲載し、メディアにも多数取り上げられた「SMAP大応援プロジェクト」に出資したというファンの声も寄せられた。

ビジネス・投資関連へ出資した人は少数派だったが、経験者からは「将来性があると思った」「利回りが良かった」という意見が寄せられた。また、「宇宙旅行」といった夢のあるプロジェクトや「砂漠の緑化」といった環境問題にまつわるプロジェクトを応援したいと思ったという意見もあった。

調査時期: 2017年3月2日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女606名
調査方法: インターネットログイン式アンケート