バターなどに多く含まれる飽和脂肪酸と心疾患との関係とは

牛肉やチーズといった食べ物が好きな人も多いはずだ。もちろん、普通の生活で楽しんでもらう分にはまったく問題ないが、食べすぎは禁物のようだ。その理由はこれらの食品に多く含まれる飽和脂肪酸にある。

海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「飽和脂肪と心臓疾患の関係」に関するコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。

飽和脂肪酸とは炭素間の結合に二重結合を含まない脂肪酸のことで、摂取量が多すぎるとさまざまな疾病リスクが高まると考えられている。一般的には牛肉や牛脂、バター、チーズなどに多く含有されている。ハーバード大学の科学者グループはこのほど、これらの食べ物から飽和脂肪を5%多く摂取すると、24~28年後における冠動脈性心疾患リスクが25%高まる事実が判明したと明らかにした。

一方で、飽和脂肪を他の健康的なエネルギー源に置き換え、摂取量をわずか1%減らすだけで、冠動脈性心疾患リスクは6~8%低減した。飽和脂肪の代用として、多価不飽和脂肪や一価不飽和脂肪、植物性たんぱく質を摂取するという選択肢などが推奨されている。

研究は、1984年から2012年にかけて7万3,147人のアメリカ人女性を、1986年から2010年にかけて4万2,635人の男性を対象として実施された。これらの人は皆、研究開始当初は大きな長期疾患がなく、4年ごとに食事内容と冠動脈性心疾患の有無を調査した。

その結果、研究対象者が最も多く消費したのラウリン酸やミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸といった飽和脂肪酸で摂取総カロリーの9~10%程度だったとのこと。そして、このような飽和脂肪酸は冠動脈性心疾患のリスク増加と関連していた。

研究者グループは、このような飽和脂肪酸をより健康的なもので代用した場合は疾患リスクが減るとみている。「冠動脈性心疾患予防のためには、飽和脂肪をより健康的なエネルギー源と置き換えることに注力し続けなければなりません」とチー・サン助教は語っている。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。