2009年に解散したイギリスのロックバンド・オアシスの軌跡を描く初の長編ドキュメンタリー映画『オアシス:スーパーソニック』が12月24日に日本公開となることが26日、明らかになった。バンドの中心人物だったリアムとノエルのギャラガー兄弟が、製作総指揮を務める。

オアシスの中心的存在だったノエル・ギャラガー(左)とリアム・ギャラガー (C)Jill Furmanovksy

オアシスは1994年、『オアシス (Definitely Maybe)』でのアルバムデビュー以来、アルバム7作全てがUKチャート1位に輝き、世界でのCD累計売り上げが5,000万枚以上を記録するなど、その活動期間中、ロックシーンで大きな注目を集めたバンド。本作では、ギャラガー兄弟と共に、『AMY エイミー』(公開中)で第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞のアシフ・カパディアが製作総指揮を務める。メガホンを取るのは、『グアンタナモ、僕たちが見た真実』(06)で2006年ベルリン国際映画祭銀熊賞を受けたマット・ホワイトクロス監督だ。

描かれるのは1991年、兄・ノエルが弟・リアムのバンドに加入してからの軌跡。同じ部屋で育った兄弟は、ステージを共にしてから3年足らずで1stアルバムをリリースし、それがイギリス音楽史上最速で売れたデビューアルバムとなった。その1年後には、2ndアルバム『モーニング・グローリー ((What's the Story) Morning Glory?)』をリリース。当時、ザ・ビートルズがもっていた英国のアルバム売り上げ記録を更新する快挙を果たした。

1996年のネブワースでのライブでは、2日間公演のチケットに約260万人の予約が殺到。最終的には、2日間で25万人を集め、当時の野外コンサートとしての動員記録を更新するに至った。結成からわずか5年で、ロックシーンをけん引する存在にまでなったオアシス。しかし、その頃にはすでにメンバー間に取り返しのつかない亀裂が入り始めていた。

ドキュメンタリーは、ギャラガー兄弟に対する新たなインタビュー、メンバーや関係者たちの証言、名曲の数々をとらえたライブ映像などで構成。さらに、写真や記録資料といった膨大なアーカイブに前例のないレベルでアクセスを許可された製作陣が、一部をアニメーションによって再現し、等身大のバンドの物語を映し出す。

ホワイトクロス監督は、「バンドの核心をつかむこと、そしてリアム&ノエル・ギャラガーの強烈な関係性を前面に押し出すこと」と本作の意図を説明。「その切迫した衝突関係こそが、このバンドを魅力的にしている要素だから」と理由も明かしている。

また、「彼らのコンサートはいつもこれが最後かもしれないと思わせるようなものでした」と回顧。続けて、「その不安定さこそオアシスを作る要素であり、同時に究極的には破たんの原因となったのです。その態度、辛辣(しんらつ)なユーモア、実直さ、そして彼らが象徴していた可能性の感覚。自分たちを信じる事だけで、彼ら2人は世界に立ち向かっていたのです」と絶妙なバランスで成り立っていたギャラガー兄弟の魅力をも語る。

これらを踏まえ、「本作は彼らの音楽に関する映画です。壮大で快楽的、肯定的でメランコリック、そして時代を超越した彼らの楽曲に関する映画です」と強調。また「ワンダーウォール」、「シャンペン・スーパーノヴァ」、「ロックンロール・スター」、「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」とバンドの代表曲を列挙しながら、「これらすべての忘れがたい名曲が勢ぞろいします。今こそ、世界中の人々が失ったものを思い出す時です。オアシスは永遠です」と力強いメッセージを送った。