日本のバリアフリーレベルは国際的に高いのだろうか、低いのだろうか

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都はもちろん地方都市や観光地などでもバリアフリー化が推進されているが、現時点で日本のバリアフリーのレベルは、諸外国と比較してどうなのだろうか。日本在住の外国人20人にアンケートを行って、母国との比較を交えた意見を聞いてみたので紹介しよう。

Q.日本のバリアフリーのレベルについてどう思いますか。母国と比較してお答えください

■日本のバリアフリーレベルは高い!
・「とても優れています。車いすの人が行けない場所が珍しい。自国はそこまで優れていません」(ブラジル/20代後半/男性)
・「日本のホテルや他の公共施設の中には結構バリアフリーなところが増えてきて、その意識がどんどん高まってきていると思います。一方、ルーマニアはまだ全然足りないんです。EUに加盟してから、少しずつそういう施設を増やそうという傾向があります」(ルーマニア/30代前半/女性)
・「(バリアフリー化は)十分できていると思います。特に路上には段差はほとんどなく、一方でわが国には段差はどこでもあります。バリアフリーの意識のレベルはまだ低いです」(フィリピン/40代前半/女性)
・「日本の方が進んでいると思います。目の見えない人を導く黄色い線といい、エレベーターの多さといい、特に町の中の対策が圧倒的に多いと思います」(イタリア/30代前半/男性)
・「素晴らしいと思います。母国モンゴルと比較すれば、比較できないぐらいモンゴルの方がレベルが低いです」(モンゴル/30代前半/男性)
・「韓国と比べても、日本はとても高い水準の福祉制度が整えられている。韓国も習うべき点だと思う」(韓国/20代前半/男性)
・「台湾よりもっと整備されていて、障害者や高齢者たちのことをよく考えているようだ」(台湾/20代後半/女性)
・「素晴らしいと思う。ロシアでは地下鉄などでエレベーターがない駅がとても多いから」(ロシア/20代中盤/女性)
・「日本のバリアフリーのレベルは高いと思います。香港は日本と比べて低いと感じます」(香港/20代後半/女性)
・「とても進んでいると思います」(インド/40代前半/男性)

■進んでいるが、物足りない面も
・「日本のバリアフリーのレベルは中国より全然良いですが、もっと発展してほしいです。例えば、観光地域では未整備なところも多く、マンションのバリアフリー化も進まないので、マンションが終の住処にならない」(中国/30代中盤/男性)
・「まだまだ物足りないところもあるでしょうけど、母国に比べればかなり進んでいるような気がします」(ウクライナ/30代前半/男性)

■日本のバリアフリーレベルは低い……
・「低いと思います。渋谷駅だけでも階段しかないところが多いです。フランスは施設が古いので、まだ完璧ではないですが、東京より頑張っている気がします」(フランス/30代前半/男性)
・「障害者の立場ならば日本に住みたくないくらい、バリアフリーのレベルが低いと思っています。母国は障害者のためにもっと備えていて、バリアフリーの場所が多いです」(スペイン/30代前半/女性)
・「車いすが入れない店が多いと思います。日本の方が大変そうです」(アメリカ/30代前半/女性)
・「バリアフリーとしているが、『フリー』ではない気がする。例えば、駅構内エレベーターの数が少ない。母国もそれほど発展していないが」(パラグアイ/30代前半/女性)

■総評
今回のアンケートで、日本のバリアフリーが高いレベルだと回答した外国人は20人中12人という結果であった。

ただし、「車いすの人が行けない場所が珍しい」(ブラジル/20代後半/男性)と回答している人もいれば、「車いすが入れない店が多いと思います」(アメリカ/30代前半/女性)といった反対の意見もあり、回答者が住んでいる日本の地域だったり、車いすでの行き場所として想定している施設などだったりで印象が異なるようだ。少なくとも、「現時点で日本各地のさまざまな施設がバリアフリー化しているとは言えない」ということだろう。

また、「いろいろ用意してあるから丁寧だと思います。ただ、環境が変わっても人は変わらないって感じで、例えば妊娠してたときに席を譲ってくれる人とかあまりいなかったです」(ハンガリー/30代前半/女性)といった、設備や施設ではなく人の意識・気持ちの問題を指摘した回答者もいた。こちらは個人レベルで対処できる問題なので、今からでも改善していきたいものだ。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート