日産自動車は5日、バイオエタノールから発電した電気で走行する新しい燃料電池自動車のプロトタイプをブラジルで発表した。同プロトタイプに搭載した日産の新技術「e-Bio Fuel-Cell」は、エタノールの他にも天然ガスなどの多様な燃料と酸素との反応を利用して高効率に発電する固体酸化物型燃料電池(SOFC)を発電装置としたシステムで、自動車の動力源として車両に搭載するのは今回が世界初となる。

「e-Bio Fuel-Cell プロトタイプ」

同プロトタイプは、100%電気自動車の多目的商用バン「e-NV200」に、100%エタノールを燃料とする発電装置(SOFC)を搭載した特別仕様車。SOFCにより高効率に発生した電気が24kWhのバッテリーに蓄電され、600km以上の航続距離を実現する。日産によれば、ブラジルの一般道にて同プロトタイプを用いてフィールドテストを実施し、技術や車両の市場性などを検証の上「e-Bio Fuel-Cell」の更なる研究開発を行うとのこと。

6月に日産が研究開発を発表した「e-Bio Fuel-Cell」は、100%エタノールもしくはエタノール混合水を燃料とするため、クリーン、高効率、かつ燃料供給がし易いことが特徴の技術。サトウキビやコーンなど植物由来のエタノールを使う事で大気中のCO2の増加をゼロに近づけられる「カーボン・ニュートラル・サイクル」が実現することに加え、停車時からの走り出しの良さやきびきびした走りなど、バッテリーEVと同等のドライビングプレジャーやランニングコスト、そしてガソリン車並みの航続距離の実現が可能となっている。

さらには、エタノールの入手性の高さや、エタノール混合水の可燃性の低さにより、インフラの制約が少なく市場導入がしやすい技術と考えられている。